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山陽新幹線で東広島付近通る際、外を見ると赤い屋根が並んでいます。
東広島あたりは内陸を走りますが、何故屋根は赤いのでしょうか?
このページでは東広島地方特有の屋根瓦について、そして色が赤い理由について、さらに他の地域の屋根瓦との違いや気候の違いなどについても解説していきます。
東広島は冬に積雪が多く、寒さも厳しいことから、耐久性が高い石州瓦(せきしゅうがわら)を使っています。石州瓦は島根県の石見地方で生産されている粘土瓦です。
江戸時代、この地域が石州と呼ばれていたことからこの名前が付けられました。愛知の三州瓦、兵庫の淡路瓦と並ぶ日本三大瓦のひとつです。特に石州瓦は凍結に強いため、この地方でよく使われるようになりました。
実は瓦にとって積雪や凍結は非常に厄介なものです。瓦の表面のわずかなひび割れや隙間に入った雨水が凍結して膨張し、瓦本体を割ってしまうことがあるからです。それを防ぐためには高い温度で瓦を焼く必要があります。
三州瓦では1,100度〜1,150度、淡路瓦は900度〜1,100度といわれています。
それに対して石州瓦は、この地方で採れる良質な粘土と、松江特産の来待石(きまちいし)からつくる来待釉薬(きまちゆうやく)を使うことで三州瓦や淡路瓦よりも高い1,200度~1,300度という日本各地の瓦の中では最も高温で焼くことができ、吸水しにくく凍結や塩害にも強い瓦を生産できます。
石州瓦は約400年の歴史があり、はじまりは江戸時代の初期に島根県西部石見藩の浜田城天守閣にいぶし瓦が葺かれてからだといわれます。その後釉薬を塗り、陶器瓦として一般にも普及していきました。
石州瓦の生産量は三州瓦に次ぐ全国2位です。現在の生産量は年間約2億枚、釉薬を使う陶器瓦としては全国のおよそ20%のシェアを占めています。
島根県江津市の都野津地区を中心に、大田市、浜田市、益田市などでも生産されています。東広島だけでなく主に中国地方の日本海側にあたる、島根県から山口県にかけて広く普及していますし、北海道でも使用されています。
耐久性は高く、60年は持つといわれ、ガルバリウム鋼板などの金属屋根のように塗り替えるメンテナンスの必要はありません。
石州瓦の赤い色は、島根県東部の出雲地方でとれる来待石から作られた来待釉薬の色です。 高温で焼成する石見の粘土と来待釉薬でこのような赤色ができています。
東広島市では現在でも赤い屋根の景観を残すため、学校や公民館などの公共施設でも積極的に赤い石州瓦を利用するという取り組みを政策的に推進しているため、今でも赤茶色の屋根をした建物が多いようです。
東広島市内の山陽新幹線沿線エリアでの赤瓦率はおおよそ40%〜50%が多いのですが、エリアによってはもっと高くなるところもあります。*1
冬の東広島は中国地方にしては、あるいは西日本にしては寒く積雪が多いとは言えますが、北陸や東北など日本にはもっと寒く豪雪地帯がいくらでもあります。
北陸地方では、越前瓦や能登瓦など、中国地方の石州瓦にあたる瓦がちゃんと存在します。北陸新幹線や北陸本線から、福井県なら青っぽい越前瓦が見えますし、石川県や富山県あたりでは黒っぽい能登瓦が見えます。
東北地方では、そもそも瓦屋根が少なく、板金屋根が普及しています。昔でいうトタン屋根、現在ではガルバリウム鋼板や銅板屋根などの金属屋根です。金属屋根は瓦のような凍結による被害は避けられますし、勾配を強くして屋根積雪を避け、軽量なので屋根に雪が積もっても重くならずに済みますが、やはり傷みは早いので塗装や張り替えのメンテナンスは大変です。
高い温度で焼く石州瓦。凍結はもちろん、塩害にも強く耐火性も高い石州瓦ですが、欠点があるとすれば重量です。
瓦1枚は2.8㎏程度なので、1㎡で45㎏、1坪あたりは150㎏になります。平均的な住宅の屋根で30坪くらいとすると、4.5トンが家の上に乗っていることになります。しかも瓦だけの重さで、下地などは入れていませんし、さらに棟や鬼瓦も加算されます。
これは金属屋根のおおよそ5倍から8倍にもなります。
重いとなぜ欠点なのかというと、耐震性の問題につながるからです。直下型地震で建物に大きな被害を出した阪神淡路大震災以後、家の頭である屋根を軽くして重心を下げることが耐震性に肝要であることがわかりました。
ただ、石州瓦を含む他の瓦でも、なるべく葺き土を使わず桟木にビス打ちをするなどの軽量化を図っています。
見た目でいえば、赤の色味が濃いと色褪せが目立ちやすくなる傾向があります。グレーや黒っぽい一般的な瓦の色と比べると色褪せが早く目立ちますが、むしろそこに風情があるという見方もできます。
日本には、石州瓦の他にも赤い色の瓦があります。
沖縄の赤瓦もそうです。沖縄の民家にも広く使われ、2019年に火災で焼失してしまった首里城にも使われていました。沖縄の瓦が赤い理由は、県南部で採れる原料の泥岩に鉄分が多く含まれているため、焼き上げた際に酸化現象で赤くなるためです。
北陸の越前瓦は現在青っぽい色が主流ですが、昔は越前赤瓦と呼ばれた赤色もありました。こちらも鉄分を多く含む土の薄めたものを塗ることで赤くなっています。今でも福井県の越前市や三国町などのお寺や神社の古い建物に赤瓦が残っているのが確認できます。
「東広島の屋根が赤い理由」について、解説させて頂きました。東広島の屋根が赤いのは石州瓦が葺かれているのです。そして、東広島市の景観的な政策などにより石州瓦の使用が維持、推進されてきました。
日本各地には様々な気候の差があります。その地域によって、それぞれの歴史的、文化的な差が生まれ、屋根の瓦にも特性の差が生まれ、目に映る色も変わってきました。沖縄と東広島では気候条件が全く違い、もちろん原料も違いますが、色の近い屋根瓦ができました。
新幹線や在来線に乗っていると、通過する地域の民家の特色の違いに気が付くことがあります。今回の赤い屋根の他にも、青、黒など色の違い、さらに材質の違い、屋根の形や大きさ・・・。時々見える大きな屋根は寺院であることが多いのですが、よく見ると色や形だけでなく鬼瓦にも違いがあることもわかります。
車窓から風景を眺めながら、たとえ通過するだけの町でもその土地の特性、歴史などを想像してみてはいかがでしょうか。
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