地震や台風に強い!防災瓦の種類や特徴を解説

近年、自然災害の頻度や規模が増加する中で、家の安全性を確保するための対策が求められています。その中でも特に注目されているのが「防災瓦」です。

この記事では、防災瓦とは何か、従来の屋根瓦と比べてどのような特徴があるのか、そしてそのメリットやデメリットについてご紹介します。

地震や台風に強い家を目指す方にとっては特に必見ですので、ぜひ参考にしてください。

防災瓦とは

防災瓦は、従来の屋根瓦よりも地震や台風などの自然災害に強い性質を持つ瓦です。

阪神大震災や大型台風などの自然災害の経験を基に改良を重ねて開発された屋根材で、自然災害時に落下やズレが起こらないという高い防災性が注目されています。

防災瓦の3つの特徴

防災瓦の特徴として、以下の3つが挙げられます。

1. 最大風速にも耐えられる

各地で基準風速というものが定められており、基準風速は地域ごとに異なりますが、多くの地域では30~80m/sとされています。この基準風速に耐えられることが屋根材としては当然求められます。猛烈な台風の場合の最大風速は54m/s以上とされています。

防災瓦の耐風性能試験では、鶴弥のスーパートライ110タイプなどでは55~60m/sでも飛散しないことが確認されています。
またROOGAでは、60m/sでもフラッタリングにとどまり飛散はしないという結果となっています。
出典:
防災瓦のヒミツ?! | スタッフブログ | 【三州瓦】防災瓦の株式会社鶴弥
まもる|ROOGA|屋根材|外壁材・屋根材・雨といのケイミュー

季節風の影響を受けやすい地域では、屋根を施工するにあたり基準風速に耐えることが求められるため、このような高い耐久性を持つ防災瓦は非常に安全性が高いといえるでしょう。

2. 震度7クラスの地震にも耐えられる

屋根が被害を受ける自然災害は、台風や暴風だけではありません。地震の多い日本では、地震による被害についても対策を取る必要があります。

防災瓦は、震度7クラスの地震を想定した耐震性能試験でも瓦の脱落や破損が見られないほど、優れた耐震性を持っています。

この試験は、地震の際の振動を再現する三次元振動台を使って実施されました。防災瓦がこの試験に耐えられるということは、これまで日本で発生した多くの大地震にも耐えられるという証明になります。

今後も震度7クラスの地震が発生する可能性が高いといわれる日本では、防災瓦のように耐震性の高い屋根の設置が求められるでしょう。

3. 軽量化されているものが多い

従来の瓦よりも軽量化が図られている点も大きな特徴です。
屋根材が軽量であることは、住宅全体の耐震性を向上させる重要な要素です。重い屋根は地震発生時に建物に大きな負荷をかけるため、軽量な防災瓦を使用することで、揺れに対する建物の安定性が増し、倒壊リスクを低減できます。

一般的な瓦の重さは瓦のみで1㎡あたり約43kgあります。
防災瓦の重量は、製品によって異なりますが、従来の粘土瓦と比較すると約20~50%ほど軽量化されているものが一般的です。例えば、従来の粘土瓦が1平方メートルあたり約45~50kgの重量があるのに対し、防災瓦では30~40kg程度に抑えられた製品が多く存在します。ルーガは通常の瓦の約半分ですので、約22.5~25kg/㎡とかなり軽量化されています。

約30坪の戸建て住宅で屋根面積は約100㎡とすると、通常の瓦では屋根の重さは約5,000kg(5トン)、軽量瓦30kgの場合は3,000kg(3トン)、40kgの場合は4,000kg(4トン)とかなり大きな違いが出てきます。

屋根の軽さを重視する場合、瓦以外の屋根材を使うという選択肢もありますが、瓦屋根を希望するなら、軽い防災瓦を設置することをおすすめします。

防災瓦と従来の屋根瓦の違い

ここからは、防災瓦と従来の屋根瓦の違いをご紹介していきます。

これまで防災瓦の特徴についてお伝えしてきましたが、防災瓦は従来の屋根瓦に比べて耐久性や耐震性が高く、軽量であることが分かりました。加えて、防災瓦と従来の屋根瓦では施工方法も異なります。

まず、従来の屋根瓦の構造は、瓦桟という木に引っかけているだけで固定しない方法や、土葺きといって敷き詰められた土に瓦を押し付けるように固定されるといった方法で施工されています。

そのため、強風や地震が発生すると簡単にずれてしまいます。また、従来の屋根瓦は重量があるため、屋根の重心が高くなることで建物全体の耐震性が低下します。結果、大規模な地震が発生すると耐えきれないという欠点があります。

一方、防災瓦は、瓦同士が噛み合うようなロックアームと呼ばれる方法で固定します。このように固定することで、瓦同士の結束力が向上し、ずれや浮きに対する耐性が強化されます。

さらに、防災瓦は屋根の土台である野地板に釘で固定するため、ずれや浮きが起こりにくくなり、耐震性能が向上します。

現在と過去の大きな違い

従来の屋根瓦と防災瓦の違いを見ると、従来の屋根瓦の欠点が目立ちますが、これは現在と過去の環境の変化が大きな理由です。

一昔前までは、近隣の家同士の間隔が広いことが多く、地震などが起こった際にはあえて瓦を落とすことで家そのものの倒壊を防ぐという目的がありました。

しかし、現在は住宅密集地も多くなり、瓦をあえて落とすという対策が適さなくなりました。そのため、自然災害などによる飛散や脱落を防ぐことができる屋根材が求められるようになっています。

防災瓦の5つのメリット

メリット

ここからは、防災瓦の持つメリットを5つご紹介します。防災瓦には、以下のようなメリットが挙げられます。

1.耐風性が高く、ズレや落下がおこりにくい

従来の瓦は、引っ掛け桟方式といって、桟木に引っ掛けてあるため、地震によってずれやすくなっています。

防災瓦は、台風や強風による被害を防ぐために設計されています。
ロックアームによる特殊なロック構造で瓦同士をしっかり連結して固定しています。そのためズレや浮きが起きにくくなっています。
また釘やビスで各瓦を屋根の下地である野地板に固定していきます。そのため地震や台風の際の落下の危険性も軽減されています。

2.約30年間メンテナンス不要

強風や地震に強い設計のため、定期的なメンテナンス頻度が少なく、瓦の交換や修理の手間が減ります。

また本体そのものの耐久性が従来の瓦と同様に高く、耐用年数も長くなっています。セメント瓦やスレートと異なり塗装によるメンテナンスも不要ですので、約30年間ノーメンテンナンスで使用できるといわれています。そのため初期費用が高くても長期的にみるとコストパフォーマンスに優れているといえるでしょう。

3.従来の屋根瓦よりも軽い

従来の瓦に比べて軽量化されているため、屋根全体の重量が軽くなり、建物への負担を軽減します。ROOGAなど製品によっては、従来の瓦に比べて重量が約半分になっているものもあり、「瓦屋根は重い」といったイメージを覆すものも存在します。
防災瓦に葺き替えることによって耐震性能の向上にも寄与します。

4.防水性が高い

防災瓦は、耐久性や耐震性だけでなく防水性にも優れています。
瓦の重なり部分に防水機能が強化されており、雨水が屋根内部に浸入するのを防ぎます。これにより、長時間の雨でも雨漏りのリスクを軽減します。
さらに瓦と下地の間に隙間ができるので、通気性に優れ、結露の発生も防いでくれます。

5.遮音性・断熱性が高い

従来の屋根瓦同様、遮音性や断熱性にも優れています。
防災瓦の製品にもよりますが、従来の瓦と同じく土を使用したものは音を吸収して雨音を和らげます。
またROOGAは樹脂遷移を混入したセメント瓦ですが、内部の気泡が断熱効果を持ちます。

防災瓦の3つのデメリット

デメリット

防災瓦は従来の屋根瓦と比べても多くのメリットがありますが、一方で以下のようなデメリットも考慮する必要があります。

1.初期費用が高い

従来の瓦と比べるとそこまで大きな価格差はありませんが、スレートや金属屋根と比較すると初期費用が高くなる傾向があります。
全面的な屋根の葺き替えを行う場合には、費用負担が大きくなることがあります。

ただし、屋根材そのものは約30年メンテナンスフリーであり、ランニングコストを考慮するとトータルのメンテナンスコストは低く抑えられる可能性があります。

2.施工が難しい場合がある

防災瓦は専用の固定金具やビスなどを使った施工が必要なため、施工に熟練した技術が求められます。経験が浅い施工業者が行うと、正しく設置されずに性能を十分に発揮できないリスクがあります。

3.スレートや金属屋根よりも重い

防災瓦は従来の瓦より軽量化されているものの、スレート屋根や金属屋根などの軽量屋根材と比べると重い屋根材であるといえます。
そのため、屋根の軽量化にこだわる場合は、瓦以外の屋根材の選択も検討する必要があるでしょう。

しかし現在の耐震基準に則って建築された建物には十分な耐震性が備わっているため問題ないとされています。建物の築年数が長い場合や、耐震性について懸念がある場合は、防災瓦を設置しても問題がないか、屋根施工業者に相談してみるのも一つの方法です。

防災瓦の費用相場

コスト

費用が高額になることが懸念される防災瓦ですが、具体的にどのくらいの費用がかかるのか、目安となる相場をご紹介します。

屋根材の種類 施工単価 参考価格(30坪~39坪)
防災瓦 9,000円~11,000円 179万円~236万円
日本瓦 8,000円~10,000円 169万円~226万円
ガルバリウム鋼板 5,000円~10,000円 148万円~205万円

※参考価格は屋根の形状や劣化状態によって変動します。
※参考価格はあくまでも目安ですので、正式な金額をお知りになりたい場合は、屋根施工業者に直接ご相談のうえ、見積もりをお取りください。

防災瓦は高額ではあるものの、従来の屋根瓦と比べるとさほど大きな差はありません。

また、一般的に10年ごとの塗り替えや葺き替えなどが必要な他の屋根材のようなランニングコストがかからないため、トータル的なコストも考慮して検討されると良いでしょう。

防災瓦を取り扱うおすすめメーカー3選

最後に、おすすめしたい防災瓦を3種類、ご紹介します。

鶴弥

画像引用:株式会社鶴弥公式サイト

鶴弥は、瓦業界最大手の老舗メーカーで、伝統の風格と気品を再現した防災瓦を多数製造しています。

代表的な製品には、「エース」シリーズや「スーパートライ110シリーズ」があります。これらの製品は、世界初のスーパーロック工法により、耐風性、耐震性、耐久性、防水性、施工性の5大性能を充実させています。

カラーバリエーションも豊富で、和風だけでなく様々な建物の屋根にもマッチします。

鶴弥の平板瓦(F型)には全てにハイパーアームが装備されており、強風や地震にも強い構造となっています。特に、「スーパートライ110タイプ1プラス」は2.5寸勾配から対応可能で、緩い勾配の屋根にも適しています。

栄四郎瓦

画像引用:栄四郎瓦株式会社

栄四郎瓦は、1801年に創業した三州瓦を代表する老舗メーカーです。

栄四郎瓦が製造する瓦には、純和風の和形「銀いぶし瓦」から、シンプルでモダンなフラット形状の防災瓦「プラウドプレイン」まで幅広いラインアップがあります。

これらの瓦は、瓦同士をしっかりと固定するジョイントフックを備え、強風や地震にも強い構造です。また、瓦の重なり部分の水返し機能が充実しており、雨水の侵入を最小限に抑えています。さらに、太陽光パネルとの組み合わせもスムーズです。

KMEW(ケイミュー)

画像引用:ケイミュー株式会社

ケイミューは、クボタとパナソニックの住宅外装建材部門が統合して設立されたメーカーです。

スレートやガルバリウムの屋根、外壁材、雨樋などの製造も手がけており、その中でカラーベストで培った実績とノウハウを基に開発されたのが、防災瓦「ROOGA(ルーガ)」です。

ルーガは一般的なセメント瓦と同じ厚みを保ちつつ、約1/2の軽さで地震の揺れを軽減し、ケイミュー独自技術の無機系塗膜「グラッサコート」により、色褪せを防ぎながら鮮やかな色味と光沢を30年間保つことができます。

また、ROOGAシリーズは割れにくく、軽量でありながら強度も兼ね備えており、台風や地震時の衝撃にも耐え、雨漏りのリスクを低減します。


まとめ

防災瓦は、従来の屋根瓦の利点を残しつつ、現在の住宅環境に考慮した作りになっています。また、施工時の費用はやや高額になるものの、ランニングコストが低減される分、トータル的なコストを抑えることができるのも特徴です。

屋根瓦を希望されている方や、屋根瓦の葺き替えを検討されている方は、防災瓦も選択しの一つしておすすめします。

屋根修理の匠は、全国の優良屋根修理業者を紹介しています。屋根の葺き替えを検討している方や、屋根の修理業者をお探しの方、防災瓦を検討されている方などで、信頼できる優良業者への依頼を希望される方は、ぜひ屋根修理の匠へご相談ください。

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