樹脂製貫板「タフモック」とは?特徴やメリット・デメリットを解説

「タフモック」という貫板をご存知でしょうか?

タフモックはケイミュー株式会社が製造販売する樹脂製の貫板です。これまでの貫板は天然の木材が使われてきましたが、木製は腐食が起きやすい点がデメリットでした。

その点、タフモックは樹脂のため、水を吸収しにくく腐食や色あせが起こりにくい利点があります。今後は樹脂製の貫板が主流になると期待されています。

そこで今回は、樹脂製の貫板「タフモック」の特徴やメリット・デメリットについて解説します。貫板のメンテナンスを考えている方は、ぜひ参考にしてください。

「タフモック」は軽さと耐久性に優れた貫板

タフモックとは、ケイミュー株式会社が製造販売する貫板です。ケイミューとはルーガや鉄平などの屋根材「ルーガ」を販売する会社です。

タフモックの特徴

タフモックは、ポリスチレンにゴムを添加したハイインパクトポリスチレンを原料としているプラスチック製の木材です。プラスチック製の木材とは、樹脂(プラスチック)と木粉を混ぜ合わせて成型しているため「人工木材または樹脂木材」とも呼ばれます。

人工(樹脂)木材は、天然の木材よりも腐食や色あせなどが起こりにくく、安全性や加工性にも優れています。そうした要素を持ち合わせている「タフモック」は、軽さと耐久性がありながら加工性にも優れているのが特徴です。

加えて、施工する際の釘を打つ位置の目安マークが付いていたり、シングルカッターで簡単に切断できたりするなど施工性も高いです。また、雨水排水溝と排出溝を付けることで防水性にも優れた構造となっています。

樹脂製貫板「タフモック」のメリット・デメリット

タフモックのメリットは以下の3点です。

  • ・水を吸収しにくい
  • ・色あせしにくい
  • ・柔軟性があり折れにくい

それぞれ解説します。

メリット

タフモックのメリットは、プラスチック樹脂のため水を吸収しにくい点です。樹脂は腐食しにくいため釘の抜けを防ぐことができ、一緒に固定する棟板金のズレや落下も防げます。腐食しにくいことはシロアリの発生も防げ、雨漏りにつながるリスクも低減できます。

また、プラスチック樹脂は色あせしにくいのもメリットの一つです。天然の木材の場合は経年劣化で色あせてきますが、タフモックは樹脂が混入されているため、色あせを防ぎ高い耐久性を維持できます。

樹脂製のメリットはもう一つあります。柔軟性があり加工しやすい特徴がありますが、柔軟性があるということは、割れや折れにも強いこともメリットの一つです。腐食しにくい樹脂製は今後も建材の主流となっていくでしょう。

デメリット

タフモックのデメリットは以下の2点です。

  • ・値段が高い
  • ・熱がこもりやすい

タフモックは樹脂が入っているため、通常の木材と比べると価格が高い点がデメリットです。また、樹脂ゆえの弱点として熱がこもりやすいことも挙げられます。

樹脂は熱伝導率が高く蓄積しやすくなるため、直射日光が当たる場所は高温になりやすいです。高温状態が続くと変形する恐れもあります。近年では熱伝導率の低い素材の製品も増えているため、日射が強い地域や長い地域は温度上昇を抑える製品にする選択肢も必要です。

樹脂製貫板「タフモック」の施工方法

ここでは、タフモックの取り付け方法について解説します。

タフモックは棟板金の下地材として固定する形になるため、棟板金をすべて撤去します。棟板金は下地材である貫板と固定釘やビスのみで固定されています。

撤去の際、屋根材に剥がれや割れなどの不具合があればあわせて補修します。タフモックを屋根材や棟板金に固定する際は、ステンレス製の固定釘やビスを使用することで、サビを防げます。

棟板金も変形やサビが出ているようであれば、一緒の交換がおすすめです。棟板金の材質をガルバリウム鋼板などのサビに強い素材を使用することで、さらなる耐久性の向上につながります。

棟板金のジョイント部分にシーリング(コーキング)を充填し、雨水が浸入してこないよう隙間を埋めていきます。以上がタフモックの施工方法です。

貫板の役割

ここからは、貫板の役割について解説します。

貫板(ぬきいた)とは、棟板金がズレないように固定するための下地材の役割があります。棟板金は、屋根材同士が重なる部分に取り付けられ、屋根材の隙間に雨水が浸入しないように防いでいる建材です。

雨水が浸入してしまうと雨漏りにつながるため、棟板金の存在はとても重要です。その棟板金が外れないように固定するのが貫板の役割です。

貫板はこれまで木製のものが主流で、木材は水分に弱く腐食しやすいといったデメリットがあります。腐食が起きやすい木製の貫板に代わるものとして注目されているのが、樹脂の貫板であるタフモックです。

貫板の種類

次に貫板の種類について解説します。流通している貫板の主なものとしては以下の3つがあります。

  1. 木製
  2. 樹脂製
  3. ガルバリウム鋼板製

それぞれ詳しく解説します。

1.木製

木製の貫板は昔から使われている貫板で、多くの建築物で採用されてきました。樹脂製や金属製が増えてきてはいますが、木製はまだまだ多く採用されているのが現状。

木製は耐久性の高い杉や松でできているものが多く、安価なうえ軽くて加工しやすいメリットがあります。杉や松は通気性がよく調湿効果もあるため、一般的な住宅にも適しています。

デメリットは水を吸収しやすく腐食が起きやすいことです。雨が降ると水が浸透しやすくなり腐食が発生します。貫板が腐食すると棟板金を留めている釘やビスが緩んでしまうため、棟板金に隙間が発生したり、台風などで棟板金が外れてしまう恐れがあります。

2.樹脂製

樹脂製は人工木材やプラスチック木材、樹脂木材などとも呼ばれます。樹脂は木材に比べて腐食しにくいという特徴があり、近年は木製に代わり使用されることが多くなってきています。腐食しにくいことで安定して長い期間、棟板金の固定が可能です。

樹脂は軽量で加工もしやすく、耐候性に優れている点もメリットです。しかし、樹脂製にも弱点があり、熱に弱く内部にこもりやすいことです。長時間高温状態が続くと、変形してしまう恐れがある点はデメリットといえます。

3.ガルバリウム鋼板製

貫板の素材としてガルバリウム鋼板も注目されています。ガルバリウム鋼板は金属製のため、腐食をせず水に強い特徴があります。樹脂製と同様に高い耐久性が期待できるのも注目です。

また、樹脂の弱点である耐熱性にも優れており、気温が高い厳しい気候条件下に適している貫板です。デメリットは、木製や樹脂製に比べて高価な点です。

貫板が劣化する原因

貫板の劣化の原因は、棟板金自体のサビや変形や釘やビスの緩みなどです。時間が経過すると釘やビスの緩みが発生します。飛来物などで破損することもあります。

貫板は、通常は棟板金に隠れており紫外線や雨風の影響は受けません。しかし、棟板金のズレや固定している釘やビス、棟板金と屋根材との隙間から雨水が浸入します。

木製であれば腐食が起き、樹脂製であれば熱による変形や割れ、ガルバリウム鋼板製であればサビにつながります。貫板が劣化してくると、固定力も弱まります。

屋根材との固定力も弱まれば、雨水が屋根の内部に浸入して雨漏りの原因となってしまいます。

貫板のメンテナンスのタイミング

貫板のメンテナンスのタイミングは以下のとおりです。

  • ・棟板金の釘やビスの締め直し時
  • ・屋根工事や棟板金の交換時
  • ・棟板金周辺のコーキングのメンテナンス時

それぞれ解説します。

棟板金の釘やビスの締め直し時

釘やビスは経年劣化が進むと緩みや抜けが発生します。一般的には8〜10年程度で緩みが発生しやすくなり、釘やビスの緩みや抜けが発生すると、隙間から雨水が浸入して雨漏りにつながります。

すでに貫板に雨水が浸入して腐食している可能性もあるため、釘やビスの緩みや抜けが発生した際には一緒に点検することをおすすめします。

屋根工事や棟板金の交換時

屋根材や棟板金のひび割れや破損、欠けが発生している場合、貫板も劣化している可能性があります。屋根工事や棟板金交換時に耐久性のあるガルバリウム鋼板や樹脂製などへ交換するタイミングと考えてもよいでしょう。

棟板金周辺のコーキングのメンテナンス時

棟板金同士が重なる部分にはコーキングが必要です。コーキングは5〜10年程度で劣化してくるため、ひび割れや剥がれ、痩せなどが発生します。コーキングが劣化すると隙間から雨水が浸入しやすくなるため、貫板もダメージを負っている可能性があります。

コーキングが劣化すると雨漏りにつながるリスクもあるため、コーキングのメンテナンスとあわせて貫板の状態も確認が必要です。

貫板のメンテナンスにかかる費用相場

コスト

貫板が劣化すると新しいものへ交換します。貫板の交換費用の相場は、1メートルあたり3,500〜10,000円程度です。

樹脂製やガルバリウム鋼板製などへ交換する場合は、費用が高くなる傾向があります。上記以外にも足場の設置代が15〜20万円程度かかります。

貫板修理を依頼する業者選びのポイント

ここでは、貫板修理を依頼する際の業者選びのポイントについて解説します。悪徳業者の被害に遭わないためにも、以下のポイントはしっかりと押さえておきましょう。

  • ・屋根修理専門業者に依頼する
  • ・複数の業者へ見積を依頼する
  • ・職人直営の地域密着型の業者を選ぶ
  • ・業者独自保証やアフターサービスが充実しているか

それぞれ解説します。

屋根修理専門業者に依頼する

貫板は屋根に関する建材です。交換修理を依頼する際は、貫板交換を含む屋根工事に精通した屋根修理専門業者へ依頼することが大切です。屋根に関する工事や工務店やハウスメーカーなどでも手配はできます。

しかし、屋根に精通していない業者へ依頼すると間違った取り付けをされる可能性があり、修理後すぐに雨漏りなどの被害に合うことも考えられます。

屋根修理専門業者であれば、屋根に関するスペシャリストです。屋根の状態に合った修理方法や屋根全体を含めた提案、予算などの状況でいくつかの提案をしてくれるでしょう。

複数の業者へ見積を依頼する

屋根修理を依頼する際は、必ず複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。複数の業者から見積りを取ることで、修理費用の相場を把握できます。

修理費用の相場を把握することは、見積もり費用を高く出してくる悪徳業者に騙されず余計な費用を払わずに済みます。

職人直営の地域密着型の業者を選ぶ

貫板の修理を依頼する場合は、地域密着型の業者がおすすめです。地域密着型の業者は気象条件など地域の特性を理解しており、地域に合った提案などもしてくれます。

また、職人直営店であれば、窓口の担当者と職人を兼任している業者も多いため、相談からアフターフォローまで一貫しています。依頼した工事と違っていた、話が伝わっていなかったなど、大手メーカーと下請け業者で起きがちな意思疎通ができていなかったなどの問題も起こりにくいです。

地域密着型は、何か不具合があればすぐに駆けつけてくれます。細かな相談やアフターフォローまで対応できることが強みです。

業者独自の保証やアフターサービスが充実しているか

修理を依頼する際、業者独自の保証やアフターサービスが充実しているかを確認しましょう。工事後は何か不具合が起きないとは限りません。

業者独自保証とは、部分工事にも保証が付いたり、5年や10年といった長期保証を設定している業者も多いです。工事後の無償点検や定期点検などのアフターフォローがあるかどうかも確認しましょう。保証などは契約前に確認することをおすすめします。

まとめ

今回は、樹脂製貫板「タフモック」の特徴やメリット・デメリットについて解説しました。タフモックは、プラスチックである樹脂と木粉を混ぜ合わせて成型した人工木材です。

タフモックは水を吸収しにくいため、天然の木材よりも腐食や色あせが起こりにくいのがメリットです。また、柔軟性があるため加工なども簡単に行える施工性に優れた点も特徴です。

デメリットは、天然の木材よりも価格が高くなる点や熱がこもりやすく、高温状態が続くと変形の恐れがあります。今後は木製の貫板に代わって耐久性のある樹脂製の貫板が採用されていくことが予想されます。

貫板のメンテナンス時期がきたら、ぜひ採用してみてはいかがでしょうか。

メンテナンスや修理を依頼する際は、屋根修理専門業者へ依頼するようにしましょう。専門業者を選ぶ際は「屋根修理の匠」がおすすめです。屋根修理の匠は、優良業者をランキング形式で掲載する情報ポータルサイトです。

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