京都の屋根修理事情は?瓦の下に土葺き?

古都の街、京都府は建造物の歴史も深く、建築職人のレベルも高いと言われています。

もちろん屋根職人も例外ではなく、歴史的建造物も多い分、瓦屋根職人は日頃から相当な技術レベルを求められて日々施工にあたっています。

また京都には、瓦屋根の学校である京都府瓦技術専門学院もあり、若い世代も確かな瓦屋根の技術を伝承しています。

京都府瓦技術専門学院URL

京都府瓦技術専門学院

そのような中、京都は他の都道府県と施工方法や屋根の種類は違うのか?となると、そんなことはありません。

京都も基本的には他の地域と同じ施工方法を取っています。ただ瓦屋根の戸建てがまだまだ多い分、瓦職人の人数は比較的多いようですね。

ただ一つだけ。色々な意見、見方、賛否両論、メリットデメリットがあるため、良い悪いの話ではないのですが、

実は京都では、瓦の葺き替え工事の際にまだまだ「土葺き」を扱っている業者が多い&希望するお客様がおられる、という特徴があります。

そもそも土葺きとは?

土葺きは、昭和初期の頃に主流だった屋根葺きの工法です。

土葺きの施工

昭和20年より昔に建てられた戸建て住宅はほどんどがこの土葺きを採用した瓦屋根です。

具体的な施工方法としては、屋根全面に葺き土を敷き、その上に瓦を被せていきます。

この土葺きの工法には下記のメリットがあります。

①重い土により家が安定する。

②瓦屋根が強風などにより飛びにくくなる。

③土の断熱効果により家の中の温度が下がる。

④雨漏りが起きた際は、葺き土が雨水を吸収して雨水が中に入ることを防ぐ。

これだけ聞くと、土葺きは非常に良い工法です。しかし行政は葺き土の瓦屋根から「屋根の軽量化」を推進しており、そのために補助金も出しています。

(京都も例外なく屋根の軽量化を推進補助金が出ています。)

京都市:【令和6年度】「まちの匠・ぷらす」京町家・木造住宅 耐震・防火改修支援事業

この背景としては、関東地方では関東大震災、関西地方では阪神淡路大震災により土葺きの家の多くが壊滅してしまいました。

土葺きだと家が重くなりすぎて、揺れによるダメージが加わると耐えられないのです。

そのため日本全国にて、屋根の軽量化が推進されるようになりました。

そのため現在は土葺きは湿式工法、従来工法と呼ばれています。

何故京都では土葺き工法がまだ使われている?

京都でも、一般住宅の場合は土葺による屋根修理をしている戸建てはほぼないと言えます。

しかし、京都の祇園などの老舗料亭、大型商業施設の一部瓦屋根には、今でも土葺きによる施工を希望する方もおられるようです。

もちろん地震のことを考え、他のことで様々な耐震対策を打っていますが、土葺きの家による室内の快適さや、高齢の方はむしろ土葺きでないと家が不安とおっしゃる方もおられるようです。

確かに現代の瓦がズレたり割れたた場合、雨漏りのリスクが急に高まりますが、葺き土があるとなかなか雨漏りは起きにくいなど、家を守ることにおいて良い側面もあります。

昔の人は凄いですね。

ただ京都の一部を除いては、やはり土葺きは耐震リスクがありますので、早めに軽量化の葺き替えを行うことをおすすめします。

土葺き工法から、引掛け桟葺き工法へ

それでは現代の屋根修理(瓦屋根の葺き替え)はどのようになっているのか?

それは「引掛け桟葺き工法」です。

引掛け桟葺き工法

桟木という薄い木を取り付け、そこに瓦屋根をひっかけます。

これにより葺き土の重さがなくなり、家の耐震性が高まります。

京都を含め、現在は日本全国のほとんどの屋根修理業者がこの工法を取っています。

各屋根材・工法の重さを比較

土葺きと桟木による引掛け工法、またその他屋根材の平米あたりのkgは下記の通りです。

屋根材 平米/kg
瓦屋根(土葺き工法) 70kg
瓦屋根(桟木による引掛け工法) 45kg
ROOGA 20kg
軽量スレートコロニアル 20kg

ROOGA屋根は昨今人気のある、瓦屋根風の軽量屋根材です。

軽量スレートコロニアルも軽くて昨今人気ですが、アスベストを混入しなくなってからはあまり評判が良くない屋根材です。

上記と比較して、現代最もよく使われているのは金属系屋根(ガルバリウム屋根)です。

こちらの屋根材は、平米あたりなんと5kgです。かつ耐久性にも優れていますので、現代は金属屋根が最も多角的に見れば良いのかもしれません。

※耐久年数は瓦屋根が約50年でやはり現代の屋根材の中だと圧倒的に長いです。(金属屋根は約20~30年)

土葺き屋根のメンテナンスの必要性

京都をはじめとして、今でも土葺きの家は全国にたくさんありますが、高い確率で頻繁なメンテナンスが必要な経年劣化が進んだ状態です。

しかし葺き替えは安くても3桁万円の工事ですので、全ての家がすぐに簡単に葺き替えができるわけではありません。

そうなると補修工事を定期的に行う必要があるのですが、その際に必要な項目は主に下記が挙げられます。

①瓦の差し替え

瓦屋根は一枚一枚並べられていますが、日当たりや場所によって劣化スピードも異なります。そのためひび割れなどが生じたものは新調したものに差し替える必要があります。

②瓦のズレを直す

葺き土は風化等により日々少しずつ形が変わります。そうなると瓦も少しずつズレていきます。瓦同士繋がっているため連鎖していくのです。そうなると下地の補修込みで瓦のズレを直していく必要があります。

③下地の補修

土と瓦の重さを何十年も受けると、当然屋根の下地箇所はたゆみなどが生じています。そこから雨漏りなどが起きることも珍しくありません。

土葺きの瓦屋根の場合、葺き替え時にも下地の補修工程は非常に大切です。

④漆喰の補充

土葺きに限ったことではないですが、瓦屋根の漆喰は日々劣化しますので、補充や交換などの施工は定期的に行う必要があります。

京都の土葺き屋根は上記のメンテナンスを特に頻繁に行っている

上述しましたが、京都では現代もこの土葺きの瓦屋根にて屋根修理を行っている建物もあります。

ただ同時に耐震のリスクを抱えていることは認識していますので、しっかり定期メンテナンスを行っているようです。

また一部だけ土葺きにするなど、歴史・伝統を守りつつ安全配慮をしているようですね。

そのためそこまで屋根を含め家の外観に気を遣う必要のない戸建て住宅は土葺きの屋根修理工法は控えましょう。

(そもそもそれをできる職人さんがかなり減っていますが)

土葺き屋根から軽量の屋根材への葺き替え手順

①既存の瓦屋根の撤去

既存の瓦屋根を一枚ずつ撤去していきます。

②葺き土の撤去

おおよそ50年の月日が流れた葺き土の状態は撤去が大変です。葺き替えの際はこの撤去代も費用に含まれます。

③下地調整

上述しましたが、土葺きの屋根の下地は土と瓦の重さによりたゆんでいたり、大分弱っています。そのためしっかりと下地補修を行う必要があり、そこの費用も見ておく必要があります。

④コンパネ貼り

屋根の下地材です。

⑤ルーフィング貼り

屋根が一時防水であれば、ルーフィングは二次防水と呼ばれる非常に重要なものです。

⑥新規の屋根材を葺いていきます。

⑦細かい仕上げをして完工です。

土葺きの屋根は、他の屋根材の葺き替えと比べて工程が多くなるため、工事費用も割高になりがちです。

まとめ

土葺きは昔の瓦屋根の施工に使われていた工法で、様々なメリットもありました。

しかし耐震性が弱く、現代ではほぼ使われなくなっています。

しかし京都では一部最大限の配慮をしながら、一部で土葺きの工法が使われています。

一般住宅では土葺きはおすすめしませんので、なるべく軽量の屋根材を使用してください。

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