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庇(ひさし)は、住まいを雨風や日差しから守る重要な役割を果たしています。
しかし、屋根や外壁に比べて目立たない部分であるため、劣化に気づかず放置されがちです。
「少しのサビだから大丈夫だろう」「塗装が剥がれていても問題ない」と見過ごしてしまうと、雨漏りや建物の腐食につながる恐れもあります。住まいの寿命を延ばすためには、庇の定期的なメンテナンスや早めの修理が欠かせません。
そこで今回は、庇の役割や5つのメンテナンスの方法についても解説するので、ぜひ参考にしてください。
Contents
玄関や窓、ベランダやテラスなどに設置されている小さな屋根を「庇(ひさし)」といいます。主に建物の外壁から突き出ている傾斜が緩い屋根です。
玄関や窓を雨や紫外線などから保護するだけでなく、建物のデザインを左右する屋根でもあります。
庇(ひさし)は建物の外観に大きな影響を与える重要な建築要素です。ここからは、その主要な4つの機能についてご説明いたします。
・雨除け
・日除け
・汚れ防止
・雨漏り防止
それぞれ解説します。
庇の役割の一つとして雨除けがあります。「霧除け(きりよけ)」ともいい、玄関や窓の上側に取り付けられることがあります。
庇があることで、玄関先での鍵の取り出しや窓をあけても雨が入ってこないなど、濡れずに済みます。
庇の役割2つ目は、陽射しを避ける日除けの役割です。庇があると室内へ陽射しが直接あたるのを防いでくれます。夏の場合の上部からの紫外線を防ぎ、冬場は低い位置からでも紫外線の入り込みを遮ることがありません。
庇の下の玄関や窓の汚れなどを軽減してくれます。外壁や玄関、窓などは雨垂れやホコリ、雨スジもできやすくなるため、庇は玄関や窓が汚れるのを防いでくれます。
庇は雨漏り防止の役割も果たします。とくに庇の下には窓があることが多く、窓サッシ周辺は隙間ができるためコーキング剤で隙間ができた穴に雨水が入り込むのを防ぐ役割があります。
建物を雨や日差しから守る庇には、大きく分けて2種類があります。それぞれ特徴的な構造と用途を持っていますので、ご紹介いたします。
「ろくひさし」は現代の建築で広く採用されている庇の形式です。ほぼ水平な形状で設計され、壁面に直接固定する構造が特徴的です。施工方法はシンプルで、壁面への取り付けには主に金具による固定方式を採用しています。
素材の選択肢が豊富で、特にアルミニウムやポリカーボネートなどの現代的な建材を使用できることが魅力です。
「腕木庇(うできひさし)」は、日本建築の伝統を受け継ぐ数奇屋造りなどで見られる古典的な庇の形式です。
建物の構造材から伸びる支持材(腕木)を使って庇を支える工法が特徴です。かつては一般的だった腕木庇ですが、現代では施工性や経済性の観点から、陸庇が主流となってきています。
庇に使用される5つの素材と特徴を解説します。主な素材としては以下の5つがあります。
・木材庇
・アルミニウム製庇
・ガラス庇
・ガルバリウム製庇
・ポリカーボネート製庇
それぞれ解説します。
木材は耐久性のある杉やひのき、けやきなどです。庇の強度を確保するために、強度のあるガルバリウムなどの金属と併用して取り付けられます。
軽量であり耐久性やサビにも強いのが特徴です。施工性も高いため、さまざまな外壁にも合わせられるためリフォームに最適です。
ガラス製の庇は紫外線による陽射しや雨風にも強い特徴があります。ガラスは透明になっているため、外観の雰囲気を損ねたくない人にもおすすめです。
透明以外にも半透明もあり、色や柄なども選べるため、外観のアクセントとしても最適です。
耐久性・耐食性に優れているのがガルバリウム製庇の特徴です。ガルバリウム製庇は高価な部類に入りますが、金属のスタイリッシュなデザインから人気も高まっています。
ポリカーボネート製庇はカーポートなどでよく設置されています。ガラス同様、透明の素材のため光を多く取り入れたい場所に最適です。
ポリカーボネート製庇は衝撃に強いだけでなく、紫外線や温度変化などにも優れており、強度も高いのが特徴です。
建物には庇の他にも、建物を保護する要素として屋根や軒があります。これらの構造的な違いについて見ていきましょう。
庇と屋根は、どちらも建物を天候から守る機能を持っていますが、その保護範囲が異なります。屋根は建物全体を包み込むように保護しているのに対し、庇は玄関口やベランダなど、特定の開口部のみを守ります。
軒は建物の屋根から張り出した部分を指します。これは屋根の一部として設計されており、この点が独立した構造物である庇とは大きく異なります。
軒は建物の外壁全体を天候から保護する役目を担っています。一方、庇は人の出入りがある開口部に限定して保護機能を提供する、より局所的な役割を果たしています。
「下屋(げや)」は庇に似た外観を持つ建築要素です。主に1階部分に設置される屋根の一部として機能し、その下の空間や壁面を守ります。両者とも建物の外側に突き出す構造物ですが、下屋は室内空間の保護が主な目的となっています。
両者は共に日差しや雨からの保護機能を備えていますが、構造面で大きな違いがあります。下屋は本体の屋根と同様の頑丈な材質で作られるのに対し、庇はより軽量で耐久性の異なる素材が用いられます。
庇の主なメンテナンス方法は以下になります。
①:庇を再塗装する
②:庇を部分補修する
③:庇の防水工事をする
④:カバー工法でリフォームをする
⑤:庇本体の交換を行う
それぞれ解説します。
庇の損傷がひどくない場合は庇の再塗装が可能です。塗装は防水機能を付加し庇を保護していますが、経年劣化で表面の変色やはがれ、色あせが目立ってきます。
塗装だけで修理ができる場合は、洗浄して汚れやサビを落として下地を整えたのち、下塗り>中塗り>上塗りの塗装を重ねてメンテナンスをします。
塗装では補修できないが、軽微な劣化症状であれば部分補修で対応します。
庇は木材と金属の金具などを併せて設置します。木材のみの交換であれば木材、金属部分が劣化しているのであれば、金属の金具部分のみを交換します。
また、外壁とのつなぎ目部分などにはコーキングを施工しますが、コーキングは劣化するとひび割れやはがれることがあります。コーキングの劣化を放置すると雨漏りにつながる恐れがあります。
ひび割れやはがれている場合、既存のコーキングを一度すべて撤去してから、新しいコーキングを充てんする打ち直しで対応します。
緩やかな傾斜を持つ庇には、雨水の滞留を防ぐため、防水塗装や防水シートによる保護処理を施します。
経年劣化により、防水材の表面に汚れの付着や変色が発生することがあります。このような劣化が進行すると、防水層の剥離や雨水の溜まりが生じやすくなるため、メンテナンスとして再度の防水処理が求められます。
防水処理の方法としては、ウレタン防水やFRP防水などの塗装工法、またはゴムシートや塩ビシートを用いたシート工法があります。
今ある庇に対して新しい庇を覆う方法がカバー工法です。部分補修だけでは補修できない場合や雨漏りが発生していない状況であればカバー工法ができます。
カバー工法は庇自体を交換するよりも廃棄や撤去費用が発生しないため、費用を抑えられたり、工事期間も短縮できます。
劣化が酷い場合や雨漏りしている場合は、古い庇を解体し、新しい庇へ交換が必要です。カバー工法に比べて工事費用や工期もかかってしまいますが、雨漏りは解消されるでしょう。
アルミ製などの軽量なものへ変更すれば、耐震性も向上するでしょう。庇が劣化したままの状態だと、最悪落下する危険性もあるため、早めに交換することをおすすめします。
結論からお伝えすると、庇のメンテナンスや補修を素人の方がDIYでやるのはおすすめしません。知識や経験があまり豊富でない場合、被害を余計に広げてしまったり、最悪雨漏りにつながったりする場合もあります。
塗装の場合は下地処理をしっかり行わないと、塗料が密着せずすぐにはがれて何度もやり直すなど手間が発生する場合があります。
部分補修などを行う際、しっかり取り付けできていなかったために補修部分が落下してしまったり、庇に登った際に転落して怪我をしてしまうリスクがあります。
庇の補修やメンテナンスは修理実績が豊富な専門業者へ相談し、修理してもらうことをおすすめします。
庇をメンテナンスする際の注意点は以下のとおりです。
・定期的なメンテナンスを怠らない
・ほかの工事と合わせて行うことで費用を削減する
・火災保険を使って修理できる場合がある
・相見積もりを取って価格相場を把握する
・屋根修理の専門業者に依頼する
それぞれ解説します。
庇は屋根ほど耐久性がありません。庇の素材や塗装する塗料にもよりますが、耐用年数はしっかりと確認しておく必要があります。
色あせやサビなどを放置すると雨漏りの原因となりますので、年に一度程度を目安に定期的にメンテナンスがおすすめです。
外壁補修や屋根工事などの工事をまとめて行うと工事費用を抑えられる場合があります。抑えられる費用としては足場代になります。
とくに2階部分の庇を補修する場合は足場を設置する必要があります。足場代は施工範囲にもよりますが、15〜20万円程度かかります。業者に依頼する際は、ほかの箇所を合わせて点検して費用の節約になるかを検討しましょう。
台風や豪雨など自然災害による損傷が起きた場合は、火災保険で修理できる場合があります。経年劣化による損傷の場合は火災保険は下りないため注意が必要です。
また、自然災害でも保険会社の損害鑑定人の判断によっては、火災保険が下りないこともあります。保険加入時の免責金額の設定額を上回っていない場合も同様です。
火災保険が適用になる条件などは、加入されている保険会社へよく確認してみるようにしましょう。
メンテナンスや修理を業者へ依頼する場合、複数の業者へ見積もりを取って、工事価格を比較検討することをおすすめします。
1社のみで決めてしまうと、相場よりも高い金額を支払ってしまう恐れがあります。馴染みの業者があるなどの場合は別ですが、新規で依頼する場合は、3社程度を目安に依頼すると決めやすいのでおすすめです。
庇の補修や雨漏りしている場合は、屋根修理専門の業者へ依頼することをおすすめします。修理できる業者はほかにもハウスメーカーや工務店、塗装業者などがあります。
新築で購入している場合はハウスメーカーの保証が継続しているのであれば、ハウスメーカーになりますが、そうでない場合は屋根に精通している業者へ依頼するようにしましょう。
工務店などは下請けや孫請けへ依頼することがあるため、費用が割高になります。塗装業者の場合は屋根に精通していない場合があるため、修理をしてもすぐに再発してしまったり、見当違いの工事をされる可能性があります。
住宅の軒先に設けられる「庇」について、その機能と維持管理のポイントをご紹介いたします。
庇とは建物の出入り口や開口部の上に取り付けられる小型の屋根状の構造物です。主な機能として、次の4つが挙げられます。
・降雨からの保護 ・直射日光の遮断 ・外壁の汚れ防止 ・建物内部への雨水侵入防止
例えば、雨の日でも玄関で傘を畳む際に濡れる心配がなく、また室内に直射日光が入るのを防ぐことで快適な室温を保つことができます。
ただし、庇は本体の屋根と比べると耐久性が低いため、定期的な点検とケアが欠かせません。表面の汚れや退色が目立ってきたら、それは保護層の劣化が始まっているサインかもしれません。
放置すると建物への雨水侵入の原因となる可能性があるため、異常を感じたら速やかに対処することをお勧めします。専門家に依頼する場合は、屋根工事や防水工事の実績がある業者を選ぶとよいでしょう。
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