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瓦屋根漆喰材「モルロック」とは?特徴や機能性を解説

瓦屋根の棟部分に使われている「漆喰」は、屋根の見た目を整えるだけでなく、雨水の侵入を防ぎ、屋根全体の耐久性を支える重要な役割を担っています。

しかし、従来の漆喰は経年劣化によるひび割れや剥がれが起こりやすく、定期的な補修が欠かせないという課題もありました。

そうした中で近年注目されているのが、瓦屋根用の高性能なんばん漆喰「モルロック」です。

従来の漆喰に比べて耐久性や防水性が高く、施工後の安定性にも優れていることから、漆喰補修の選択肢として採用されるケースが増えています。

ただし、「モルロックを使えば必ず安心」というわけではありません。

材料の特性を正しく理解し、屋根の状態に合った施工を行わなければ、その性能を十分に活かすことはできないのです。

この記事では、

・モルロックとはどのような材料なのか
・従来の漆喰と何が違うのか
・どんな点に注意して施工すべきなのか

といった疑問にわかりやすくお答えしていきます。

漆喰補修を検討している方が、「自分の屋根には何が合っているのか」を判断するための参考になれば幸いです。

モルロックとは?瓦屋根で使われる漆喰材の基本

モルロックは、瓦屋根の棟(むね)や鬼瓦まわりの補修に用いられる屋根用漆喰材で、建材メーカーである株式会社馬場商店が製造・販売している製品です。

一般的には「なんばん漆喰」に分類され、従来の消石灰系漆喰を改良した位置づけになります。

瓦屋根は構造上、棟部分や瓦の取り合いから雨水が侵入しやすく、その防水と固定を担う漆喰の品質は、屋根全体の耐久性に直結します。

モルロックは、そうした瓦屋根特有の条件を踏まえて開発された専用材料です。

従来の漆喰と比べたときの位置づけ

従来の漆喰は、消石灰を主成分とする無機系材料で、古くから日本の建築に用いられてきました。

一方で、乾燥収縮や吸水の影響を受けやすく、経年とともにひび割れや剥離が起こりやすいという弱点もありました。

モルロックは、こうした課題を補うために、樹脂成分や防水性を高める配合がなされており、漆喰としての基本的な役割を保ちながら、耐候性や安定性の向上が図られています。

そのため、長期的な補修サイクルを意識した漆喰材として、現場で選ばれるケースが増えています。

瓦屋根における漆喰の重要な役割

瓦屋根の漆喰は、見た目を整えるためだけの材料ではありません。

棟部分で瓦同士を安定させ、内部への雨水侵入を防ぐという、屋根の防水性と構造安定に欠かせない役割を担っています。

漆喰が劣化して崩れると、瓦のズレや棟の歪みが生じやすくなり、結果として雨漏りや下地の腐食につながるリスクが高まります。(※下記画像参照)

そのため、漆喰の状態は屋根点検時に必ず確認すべきポイントであり、劣化が見られる場合は早めの補修が重要になります。

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従来の漆喰とモルロックの違い

瓦屋根に使われる漆喰は、見た目以上に重要な役割を担っています。棟や瓦の隙間を埋め、雨水の侵入を防ぎ、屋根全体の安定性を保つために欠かせない存在です。

ただし、従来の漆喰とモルロックでは、その性能や耐久性に明確な違いがあります。

従来の漆喰の特徴と弱点

漆喰は、消石灰を主成分とした日本の伝統的な建築材料です。城や蔵、住宅の壁などにも使われ、調湿性や白く美しい仕上がりが評価されてきました。

瓦屋根の漆喰もこの系統の材料が長く使われてきましたが、屋根という過酷な環境では弱点が表面化しやすい素材でもあります。

屋根は雨風や紫外線に常にさらされ、夏と冬の寒暖差、さらには地震や強風による揺れの影響も受け続けます。

従来の漆喰は経年とともに硬化が進み、柔軟性を失いやすいため、ひび割れや剥離が起こりやすいという課題がありました。

ひび割れた部分から雨水が入り込むと、内部の葺き土や棟構造が傷み、瓦のズレや雨漏りにつながることもあります。

つまり、見た目はきれいでも、内部では劣化が進行しているケースが少なくないのです。

モルロックとは?高性能なんばん漆喰という選択

モルロックは、こうした従来漆喰の弱点を補うために開発された高性能なんばん漆喰です。

消石灰系の特性を活かしながら、屋根用途に求められる性能を高めるために、以下のような成分が配合されています。

樹脂系接着剤やひび割れ抑制成分、防水性を高める添加材などがバランスよく組み合わされており、屋根という厳しい条件下でも安定した性能を発揮できるよう設計されています。

性能面で大きく異なる3つのポイント

モルロックの最大の特徴は、耐久性と追従性の高さにあります。

従来の漆喰に比べてひび割れが起こりにくく、わずかな揺れや動きにも対応できる柔軟性を保つため、地震や強風時のダメージを受けにくいのです。

また、防水性が高められているため、漆喰自体が雨水を吸い込みにくく、劣化の進行を抑えられる点も大きな違いです。

水を含みにくいことで、内部構造への影響も軽減され、長期的な安心感につながります。

さらに、過度に硬化しないため、施工後も適度な弾性を保ちやすく、結果として漆喰の寿命を延ばすことができます。

施工性と仕上がりの違いが防水性能を左右する

モルロックは施工時の扱いやすさにも配慮されています。

鏝(こて)なじみが良く、職人が棟の隙間や瓦の際まで丁寧に詰め込むことができるため、仕上がりが非常に滑らかです。

表面が整うことで雨水が溜まりにくくなり、水の侵入経路を物理的に作りにくい構造を実現できます。

これは見た目の美しさだけでなく、防水性能を高めるうえでも重要なポイントといえるでしょう。

長期的に見ると「屋根向き」なのはどちらか

従来の漆喰は、自然素材ならではの良さを持つ一方で、屋根用途では定期的な補修が前提となる素材でした。

一方、モルロックは屋根という過酷な環境に適応するために改良された材料であり、耐久性・防水性・施工性の面で優れています。

モルロックの主な特徴と機能性

モルロックは、従来の消石灰系漆喰が抱えてきた弱点を補うために開発された、改良型のなんばん漆喰です。

漆喰本来の性質を活かしながら、防水性や耐久性、施工時の安定性を高めている点が大きな特長といえるでしょう。

瓦屋根の棟や取り合い部は、風雨や紫外線の影響を直接受けやすい箇所です。

そうした過酷な環境でも、長期にわたって安定した状態を保ちやすい材料として、モルロックは多くの現場で採用されています。

従来の漆喰と比べて耐候性・耐久性が高い

従来の白漆喰は、消石灰を主成分とするため吸水性が高く、雨水の浸入と乾燥を繰り返すことで、ひび割れや剥がれが生じやすいという性質がありました。

モルロックは、こうした点を踏まえ、防水性を高める成分や接着力を補強する材料を配合することで、従来の漆喰と比べてひび割れや剥離が起こりにくい設計となっています。

あくまで漆喰系材料のため永久的に劣化しないわけではありませんが、劣化の進行を緩やかにし、メンテナンス周期を延ばしやすいという点は、屋根の維持管理を考えるうえで大きなメリットといえるでしょう。

過度に硬化せず、揺れや動きに追従しやすい

モルロックのもうひとつの特長は、乾燥後も必要以上に硬くなりすぎない点です。

樹脂系成分の働きにより、施工後もある程度の柔軟性を保ちやすく、屋根全体の微細な動きに対してひび割れが生じにくい状態を維持しやすくなります。

もちろん、耐震材や免震材のように建物の揺れを抑える材料ではありません。

しかし、地震や強風による振動で漆喰部分にクラックが入りにくいという点は、結果として雨仕舞いの安定性を高める要因となるのです。

雨水の吸収を抑え、防水性能を補助する役割

屋根の防水性能を担う主役は、瓦の重なりやルーフィング(防水シート)です。

モルロックはそれらを補助する立場にあり、雨水が入り込みやすい隙間を安定して塞ぐ役割を担っています。

従来の漆喰に比べ、雨水の吸収を抑えやすい設計のため、湿気を含み続けることで劣化が進行するリスクを軽減しやすい点が特長です。

「完全防水」を目的とする材料ではありませんが、雨仕舞いを長期間安定させるという点において、屋根全体の防水性能を支える重要な存在といえるでしょう。

施工性が高く、仕上がりの品質を安定させやすい

モルロックは、施工時の扱いやすさにも配慮された材料です。

鏝(こて)での伸びやなじみが良く、棟部分や細かな取り合い部でも均一で密実な仕上がりを作りやすいという特長があります。

もちろん、最終的な仕上がりは職人の技量によって左右されます。

ただし、材料としての安定性が高いため、適切な施工を行うことで品質のバラつきを抑えやすいという点は、施主様にとっても安心材料のひとつになるでしょう。

モルロックは「長く安心して使うための漆喰材」

モルロックは、「塗れば雨漏りしない」「永久に持つ」といった万能材料ではありません。

しかし、従来の漆喰よりも劣化リスクを抑え、屋根の防水性と安定性を長く保つために考えられた材料であることは確かです。

だからこそ、

・定期点検を前提に
・屋根全体の構造や状態を見極めたうえで
・適切な施工と組み合わせて使用する

このような進め方が、瓦屋根を長持ちさせ、安心して住み続けるための近道なのです。

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モルロックが向いている屋根・向いていない屋根

モルロックは多くの瓦屋根で使える汎用性の高い漆喰材ですが、すべてのケースに万能というわけではありません。

モルロックが向いているケース

モルロックは、特に以下のような場面で効果を発揮します。

・従来の漆喰がひび割れている
・雨水の侵入経路を確実に防ぎたい
・長期間の耐久性を重視したい
・棟瓦や鬼瓦周りなど、雨にさらされやすい部位

こうした状況では、モルロックの高耐久性・防水性能の高さが屋根の寿命を延ばす役割になるでしょう。

注意が必要なケース

一方、屋根全体の下地が大きく傷んでいる場合や、瓦そのものがズレて雨漏りしているような場合は、モルロックだけで解決できないケースもあります。こうした場合は、屋根全体の調査・補修計画を立てる必要があります。

モルロック施工で注意すべきポイント

モルロックは、従来の漆喰に比べて耐久性や防水性が高く、扱いやすさにも配慮された材料です。

しかし、どれほど性能の良い材料であっても、施工手順や下地処理が適切でなければ、本来の力を十分に発揮できません。

瓦屋根の漆喰工事は「材料を塗るだけ」の作業に見えがちですが、実際には屋根の状態を正しく見極め、細かな工程を積み重ねていく仕事なのです。

ここでは、モルロック施工で特に重要となる注意点を解説します。

下地処理の重要性|仕上がりと耐久性を左右する工程

モルロック施工で最も重要といっても過言ではないのが、施工前の下地処理です。

古い漆喰が残ったまま、あるいは汚れや粉化した部分を十分に除去せずに上塗りしてしまうと、どれだけ高性能な材料を使っても密着性が低下し、早期剥離の原因になります。

特に注意が必要なのは、

・表面は残っているが内部が劣化している漆喰
・雨水を含んで脆くなっている部分
・苔や埃が付着している箇所

こうした状態を見落としたまま施工すると、数年で再補修が必要になるケースも少なくありません。

そのため、モルロック施工では既存漆喰の状態を見極め、必要な部分は撤去し、健全部分のみを活かすという丁寧な下地処理が欠かせないのです。

瓦の状態確認と補修を同時に行うことが重要

漆喰工事は、瓦の隙間を埋める作業ですが、その前提として、瓦自体が安定していることが必要です。

瓦のズレや浮きがある状態で漆喰だけを詰め直しても、根本的な問題は解決されず、再び隙間が生じてしまいます。

そのため、信頼できる施工では

・瓦のズレ直し
・棟の歪み調整
・必要に応じた積み直し

といった工程を組み合わせ、屋根全体のバランスを整えたうえでモルロックを施工することが基本となります。

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職人の技術力が仕上がりと寿命を左右する

モルロックは、従来の漆喰に比べて鏝(こて)なじみが良く、施工しやすい材料とされています。

しかし、それは「誰が施工しても同じ仕上がりになる」という意味ではありません。

瓦の形状や屋根勾配、棟の構造は住宅ごとに異なります。

それぞれに合わせて、

・適切な厚みで
・隙間なく
・雨水の流れを妨げない形状で

塗り込むには、経験に裏打ちされた判断力が求められます。

経験の浅い施工者の場合、

・厚塗りしすぎて割れやすくなる
・詰め不足で隙間が残る
・仕上げが粗く、雨水が溜まりやすい

といった施工不良につながる可能性もあるのです。

「材料」だけでなく「施工内容」を確認することが安心につながる

モルロックを使用するかどうか以上に重要なのは、どのような手順で、どこまでの工事を行うのかという点です。

施工前の説明で、

・下地処理の内容
・瓦の点検や補修の有無
・施工範囲と仕上がりイメージ

これらを写真や言葉で丁寧に説明してくれる業者であれば、モルロックの性能を活かした、安心できる施工が期待できるでしょう。

まとめ

モルロックは、従来の漆喰が抱えてきた「ひび割れやすさ」「雨水を吸いやすい」といった課題に配慮して開発された、高性能なんばん漆喰です。

適切な下地処理と施工が行われれば、瓦屋根の棟部を安定的に保護し、耐久性や防水性を長く維持しやすい材料といえるでしょう。

一方で、私たちが現場の相談を通じて感じているのは、材料の性能だけで屋根の良し悪しは決まらないという事実です。

漆喰の劣化状況や棟内部の構造、雨水の侵入経路を正しく見極めずに施工すると、どれほど性能の高い材料でも本来の効果を発揮できません。

重要なのは、「どの材料を使うか」よりも、その屋根に本当に必要な補修内容は何かを整理することです。

漆喰の詰め替えで十分な場合もあれば、棟の取り直しが必要なケースもあります。

モルロックを使うべきか迷ったときも、漆喰補修自体が適切か判断に悩んだときも、まずは信頼できる専門業者に相談することが大切です。

あなたの地域で信頼できる業者探しは、屋根修理の匠におまかせください。

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