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冬に多い「瓦の凍て割れ」とは?原因と修理タイミング、費用目安を解説

冬の終わり頃、「屋根の瓦が割れている気がする」「庭に瓦のかけらが落ちていた」というご相談が増えます。その原因のひとつが凍て割れ(いてわれ)です。

凍て割れは、寒さによって瓦が内部から割れてしまう現象で、見た目以上に屋根へ深刻な影響を及ぼすことがあります。

この記事では、瓦の凍て割れとは何か、その仕組みや起こりやすい条件、放置した場合のリスク、修理方法や費用の目安、そして予防策までを、屋根修理の専門的な視点からわかりやすく解説します。

「うちは大丈夫だろうか」と不安を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。

凍て割れとは?瓦が冬に割れる仕組み

凍て割れとは、瓦の内部に入り込んだ水分が凍結し、体積膨張によって瓦を内部から破壊してしまう現象です。これは「凍害(とうがい)」とも呼ばれ、コンクリートや外壁材でも起こることが知られています。

水は凍ると体積が約9%膨張します。瓦の微細な隙間に浸透した水分が凍結と融解を繰り返すことで、内部に圧力がかかり、ひび割れや欠けが生じるのです。

一度割れが生じると、そこからさらに水分が入り込み、被害が拡大するという悪循環に陥ります。

なぜ陶器瓦でも割れるのか?

「瓦は丈夫なはずでは?」と感じる方も多いでしょう。確かに陶器瓦は耐久性が高い屋根材です。しかし、経年劣化や微細なクラック(細かなひび)が生じている場合、そこから水分が浸透します。

また、瓦の表面を覆う釉薬(ゆうやく)が劣化すると、防水性能が低下します。築年数が経過した屋根では、目に見えないレベルで吸水しやすい状態になっていることもあるのです。

凍て割れが起こりやすい瓦屋根の特徴

凍て割れは、すべての瓦屋根で同じように発生するわけではありません。瓦の状態や築年数、地域の気候条件などが重なったときに起こりやすくなります。つまり、ある程度「発生しやすい屋根の傾向」があるということなのです。ここでは、とくに注意しておきたい特徴を整理しておきましょう。

築20年以上経過している屋根

瓦自体は非常に耐久性の高い屋根材で、50年、60年と使用できるケースも珍しくありません。しかし、屋根は瓦だけで構成されているわけではありません。下地の野地板、ルーフィング(防水シート)、棟部分の漆喰などは、瓦よりも先に劣化が進行することが多いのです。

築20年以上が経過している屋根では、目に見えない微細なひびや吸水の痕跡がすでに存在している可能性があります。長年の雨や湿気によって、瓦表面にわずかな吸水が起こり、それが乾燥と吸水を繰り返すことで内部にストレスが蓄積されていきます。そして冬場の凍結膨張によって、そのダメージが一気に表面化するのです。

とくに、過去に部分補修を繰り返している屋根や、棟漆喰が崩れかけている屋根は注意が必要です。瓦の固定力が弱まり、内部へ水分が入り込みやすくなっているため、凍て割れのリスクが高まります。

吸水しやすい状態になっている瓦

本来、釉薬瓦(表面にガラス質のコーティングがある瓦)は比較的吸水率が低いとされています。しかし、経年劣化や表面の傷、施工時のわずかな欠けなどによって、内部に水分が入り込みやすくなることがあります。

また、いぶし瓦や素焼き系の瓦は構造上ある程度の吸水性を持っています。これ自体が悪いわけではありませんが、長年の劣化で吸水量が増えると、凍結膨張の影響を受けやすくなります。つまり「見た目はまだ使えそう」に見える瓦でも、内部では劣化が進んでいる可能性があるということです。

寒冷地だけの問題ではない

凍て割れという言葉から、「豪雪地帯の問題」と考える方も少なくありません。しかし実際には、昼夜の寒暖差が大きい地域でも発生します。夜間に0度以下まで気温が下がり、日中に気温が上昇して溶けるというサイクルが繰り返される環境では、凍結と融解が何度も起こるからです。

関東や近畿エリアでも、霜が降りる地域や内陸部では条件がそろえば凍て割れは十分に起こり得ます。雪が多いかどうかよりも、「水分が染み込み、それが凍るかどうか」が重要なのです。つまり、「雪が少ない地域だから安心」というわけではないということになります。

屋根勾配や日当たりの影響

屋根の向きや勾配も、凍て割れの発生に影響します。北面や日当たりの悪い面は乾燥しにくく、水分が長時間残りやすい傾向があります。その状態で夜間に冷え込めば、凍結のリスクは高まります。

また、勾配が緩やかな屋根では雨水の排水が遅くなり、瓦の重なり部分に水分が滞留しやすくなります。こうした条件が重なることで、凍て割れの発生確率は高くなっていくのです。

凍て割れは「突然起こる事故」というよりも、「条件が重なって表面化する劣化現象」といえます。築年数、吸水状態、寒暖差、屋根の向きなどが重なっている場合は、とくに注意が必要でしょう。だからこそ、築20年以上経過している瓦屋根では、一度専門的な点検を受けておくことが安心につながるのです。

凍て割れを放置するとどうなる?

初期の凍て割れは、小さなひびやわずかな欠けにとどまり、すぐに雨漏りが起こるわけではありません。そのため、「まだ室内に被害は出ていないから大丈夫だろう」と様子を見る方も少なくないのです。実際、冬の終わりから春先にかけて、外から見て初めて異変に気づくケースも多く見られます。

しかし、ここに大きな落とし穴があります。凍て割れは止まる劣化ではなく、広がっていく劣化だからです。目に見える損傷は小さくても、屋根内部ではゆっくりとダメージが進行している可能性があります。

雨水侵入と防水層の劣化

瓦は屋根の表面で雨水を受け止める「一次防水」の役割を担っています。その下にはルーフィング(防水シート)と呼ばれる層があり、これが屋根の最終防水ラインです。通常は瓦がほとんどの雨水を流すため、ルーフィングは保険のような存在として機能しています。

ところが、瓦が凍て割れを起こすと話は変わります。ひび割れや欠けから雨水が直接内部に入り込み、ルーフィングに常時負荷がかかる状態になるのです。本来なら想定していない量の水が繰り返し当たることで、防水シートの劣化は加速します。

さらに、ルーフィング自体も経年劣化する建材です。耐用年数を超えている場合、凍て割れをきっかけに一気に防水性能が低下することがあります。ルーフィングまで傷んでしまえば、雨漏りは時間の問題というわけです。

下地腐食と修理費用の増大

雨水がルーフィングを突破すると、その下にある野地板(のじいた)や垂木(たるき)といった木部に到達します。ここまで進行すると、目に見えない場所で腐食が始まります。木材は一度湿気を含むと乾きにくく、カビや菌の繁殖によって強度が低下していくのです。

初期段階であれば、割れた瓦の差し替えだけで済んだかもしれません。しかし、下地まで傷んでしまえば、部分的な葺き直しや、場合によっては屋根全体の葺き替えが必要になります。工事規模が大きくなれば、足場代や廃材処分費も加わり、費用は一気に跳ね上がります。

実際に、数万円で済んだはずの補修が、数十万円規模の改修工事になってしまうケースも珍しくありません。凍て割れは「小さなひび」から始まりますが、放置すれば大きな出費につながる可能性があるのです。

強風時の飛散リスク

凍て割れによって欠けた瓦は、構造的に弱くなっています。内部に亀裂が入った状態では、見た目以上に強度が低下していることがあるのです。普段は問題なく見えても、台風や突風、強い季節風にさらされたときに飛散するリスクが高まります。

飛んだ瓦が隣家の屋根や外壁、駐車中の車に当たれば、思わぬトラブルに発展する可能性もあります。近隣への二次被害が生じれば、修理費だけでなく賠償問題に発展することもあるでしょう。

屋根は自分の家だけの問題ではありません。安全面の観点から見ても、凍て割れの放置はおすすめできないのです。

凍て割れと通常のひび割れの見分け方

凍て割れは、瓦の内部に染み込んだ水分が凍結し、体積膨張によって内側から押し広げられることで発生します。そのため、外からの衝撃によるひび割れとは割れ方が異なるのです。表面の釉薬が浮いたり、剥がれたりし、内部の素地が露出しているケースも少なくありません。

通常のひび割れは、落下物や施工時の応力、地震などによって発生することが多く、比較的直線的な割れ方をする場合があります。一方、凍て割れは不規則で、内部から崩れるような形状になりやすい傾向があります。寒冷地や冬季に氷点下になる地域では特に発生リスクが高まります。

ただし、地上からの目視だけで正確に判断するのは難しいのが実情です。屋根に登るのは転落の危険があるため避け、双眼鏡で確認する程度にとどめましょう。判断に迷う場合は、専門業者の点検を受けるのが安全です。

凍て割れの修理方法と具体的な費用目安

凍て割れの修理費用は、「被害範囲」「下地の劣化状況」「足場の有無」によって大きく変わります。ここでは、一般的な戸建て住宅を想定したおおよその目安をご紹介します。

軽度の場合:瓦の差し替え

割れが1〜3枚程度で、周囲やルーフィングに影響がない場合は、部分的な差し替えで対応できます。瓦を数枚外し、新しい瓦に交換する工事です。

・瓦差し替え(1〜3枚):約2万円〜5万円
・5枚以上になる場合:5万円〜8万円前後

ただし、2階建て以上で安全確保のために足場が必要な場合は、足場代として15万円〜25万円程度が別途発生することがあります。部分補修でも足場の有無で総額が大きく変わる点は見落とせません。

中度の場合:部分葺き直し

割れが周囲にも広がっている、あるいは下地確認が必要な場合は、部分葺き直しになります。10〜30枚程度を一度解体し、ルーフィングや下地を確認・補修して復旧します。

・部分葺き直し(1㎡〜5㎡程度):10万円〜25万円前後
・下地補修を含む場合:20万円〜35万円程度

この段階で対応できれば、屋根全体の改修を避けられるケースも多いのです。

重度の場合:葺き替え

凍て割れが広範囲に及び、ルーフィングや野地板まで劣化している場合は葺き替え工事が必要になります。既存瓦を撤去し、防水シートと下地を新設し、新しい屋根材を施工します。

・30坪住宅の瓦葺き替え:120万円〜200万円前後
・軽量金属屋根へ変更する場合:100万円〜180万円前後

使用する屋根材や建物の大きさによって差がありますが、工事規模が大きくなるほど費用は高額になります。凍て割れを早期に発見し対応することで、数万円で済むはずの修理が百万円規模に膨らむ事態を防げる可能性があるというわけです。

屋根修理の匠がおこなった凍て割れ瓦屋根の施工事例

凍て割れは、見た目では気づきにくい瓦屋根の劣化のひとつです。小さなひびや欠けから始まりますが、放置すると雨水が侵入し、下地腐食や室内の雨漏りへとつながることがあります。ここでは、実際に凍て割れが原因で雨漏りが発生した事例をご紹介します。

凍て割れによる雨漏りを三州いぶし瓦で葺き替え(京都市右京区)

京都市右京区にお住まいのお客様より、「屋根から雨漏りしている」とのご相談をいただきました。築40年のご住宅で、淡路産のいぶし瓦が使用されていました。

現地調査の結果、複数の瓦に凍て割れが確認され、そこから雨水が侵入していることが判明しました。部分補修では再発リスクが高いと判断し、耐寒性・耐久性に優れた三州いぶし瓦への葺き替えをご提案しました。あわせて野地板とルーフィングも更新し、屋根全体の防水性能を根本から改善する工事を実施しています。

【工事概要】

所在地 京都市右京区
築年数 約40年
既存屋根材 淡路産いぶし瓦
不具合内容 凍て割れによる瓦の破損・雨漏り
工事内容 屋根葺き替え(既存瓦・下地撤去含む)
新規屋根材 三州いぶし瓦

【施工実績ページはこちら】
京都市右京区にて築40年瓦屋根雨漏り修理〈凍て割れに強い三州瓦を使用した葺き替え〉

火災保険は使える?

凍て割れの修理で火災保険が使えるのかどうかは、多くの方が気になるポイントでしょう。結論からお伝えすると、凍て割れ単体では保険適用が難しいケースが多いのが実情です。なぜなら火災保険は、突発的かつ偶然な事故による損害を補償する制度だからです。

ここでは、その基本的な考え方と例外的に適用される可能性について整理しておきましょう。

基本原則:凍て割れは経年劣化扱いが多い

火災保険では、台風や強風による「風災」、大雪による「雪災」、雹による「雹災」など、自然災害による突発的な被害が補償対象になります。

一方で凍て割れは、瓦が長年水分を含み、気温差を繰り返す中で徐々に劣化して発生する現象です。

そのため、多くの場合は経年劣化と判断されやすく、保険の対象外とされることが少なくありません。見た目は急に割れたように感じても、保険会社は発生要因を慎重に確認するのです。

例外:雪災や風災との因果関係がある場合

ただし、すべてが対象外というわけではありません。たとえば大雪の荷重で瓦に亀裂が入り、その後の凍結で割れが拡大したケースや、強風で瓦がずれたことが起点となって破損が進んだ場合などは、自然災害との因果関係が認められる可能性があります。

補償の可否は、被害発生時期や気象データ、現地写真などをもとに総合的に判断されます。自己判断であきらめず、専門家に相談することが重要なのです。

凍て割れを防ぐための予防策

凍て割れは自然現象である以上、完全に防ぐことは難しいといえます。しかし発生リスクを下げることは十分可能です。

大切なのは、瓦が水分を多く含んだ状態をつくらないことと、劣化を早い段階で見つけることです。日頃の小さな点検と適切なメンテナンスが、冬場の大きなトラブルを防ぐ鍵になります。

① 漆喰や瓦ズレの早期発見

棟漆喰の崩れや瓦のズレを放置すると、雨水が内部に浸入しやすくなります。瓦が水分を多く含んだ状態が続けば、凍結時の膨張ダメージは大きくなります。

小さな不具合の段階で補修することが、結果的に凍て割れの抑制につながるのです。外から見える漆喰のひびや剥がれは、見逃さないようにしたいポイントです。


② ルーフィング(防水シート)の寿命を意識する

屋根の最終防水ラインであるルーフィングは、一般的に20年前後が交換の目安とされています。築年数が経過している住宅では、瓦が無事に見えても内部の防水層が劣化していることがあります。

防水層が弱れば内部に水分が滞留しやすくなり、凍て割れの間接的な原因になります。瓦だけでなく、内部構造まで意識することが重要なのです。

③ 定期点検で小さな破損を見逃さない

小さなひびや欠けの段階で補修すれば、水分侵入を最小限に抑えることができます。放置して吸水状態が長引くと、寒波到来時に一気に被害が拡大することもあります。

「まだ割れていないから大丈夫」と考えるのではなく、「割れる前に確認する」という視点が大切です。定期的な点検が、結果として修理費用の抑制にもつながるというわけです。

予防の本質は水分管理にある

凍て割れの根本原因は、瓦内部に含まれた水分が凍結膨張することにあります。つまり、水分を含みにくい屋根状態を維持できれば、リスクは大きく下げることができるのです。

漆喰補修や瓦ズレの修正、防水層の確認などを定期的に行うことが重要になります。こうした積み重ねこそが、冬場の思わぬ屋根トラブルを未然に防ぐ最も確実な方法なのです。

まとめ

瓦の凍て割れは、冬の寒暖差によって瓦内部の水分が凍結・膨張することで起こる劣化現象です。最初は小さなひびや欠けに見えることもありますが、放置すればルーフィングの傷みや下地腐食へと進行し、結果的に大規模な屋根修理が必要になることもあります。とくに寒冷地や寒暖差の大きい地域では、見た目以上に進行が早いケースもあるため油断はできません。

軽度であれば差し替えで済む場合もありますが、被害が広がれば部分葺き直しや葺き替えが必要になることもあります。しかも凍て割れは経年劣化と判断されやすく、火災保険の適用が難しいケースが多いのが現実です。だからこそ、「まだ大丈夫だろう」と先延ばしにせず、早めに状態を確認しておくことが結果的に費用を抑える近道になるのです。

もし凍て割れかどうか判断がつかない場合や、修理の規模を知りたい場合は、専門家の点検を受けてみることをおすすめします。屋根修理の匠では、全国の信頼できる職人直営店を紹介しています。無理に工事をすすめるのではなく、現状を正しく把握するための相談先として、ぜひ活用してみてください。

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