屋根の各部分の名称

一言で屋根と言っても、各部分ごとに様々な名称があり、聞いた事ある名称もあれば、初耳という名称もあると思います。

基本的には、一般の方はそこまで詳しく知っておく必要は無いです。
しかし、屋根の修理を依頼しようと思った時に、直してほしい部分の名称がわからなくてうまく伝わらなかった、といった経験はありませんか?
また、屋根工事を依頼した後の現地調査や打ち合わせの際に、業者が専門用語ばかりでよくわからなかった、という話もよく聞きます。

ここでは、屋根の各部分の名称を、役割と共にご説明します。
正確にはもっと細かい部位まで名称がありますが、代表的な「まずはこれさえ覚えておけば大丈夫」という部位を選んでいます。

屋根は細かい部位が複雑に合わさる事で形成されています。
そのため、全体ではなくどこか一部分が劣化しても、その箇所が原因で雨漏りが発生するという事も珍しくありません

屋根の部位の名称を知っておく事は、工事を依頼する際や万が一の屋根のトラブルの際に、業者とのやりとりがスムーズになります。
また、屋根工事を行う際は、全て業者に任せっきりにするのではなく、ご自身でもどういう施工を行うのか把握しておきましょう
そして、調査の際はどこの部分が傷んでいるのか、どうしてその工事が必要なのかを聞くようにしましょう。
そのために、屋根の各部分の名称を知っているという知識が役に立つはずです。

棟・谷

棟と谷

勾配のついた屋根の、一番高い部分を「棟(むね)」といいます。
つまり、建物において2つの傾斜した屋根が交わりあっている部分を棟と呼ぶのです。
また、頂上部に水平に置かれる部材の事を棟木といいます。
建物によっては棟がいくつかある場合がありますが、その中で一番高い位置にある棟は、他の棟と区分けるために大棟と呼びます

屋根の繋がっている部分の中で、名前の通り「谷」になっている箇所を「谷(たに)」と呼び、そこにできた窪みに設置する通水路は谷樋と呼ばれます。
谷は屋根の雨水を流すという重要な役割を持っていますが、水の通り道という性質上、雨漏りが発生しやすい箇所です。
古い住宅では、谷を形成する素材として銅板が多く使われていましたが、経年による劣化で穴が空き、そこから雨漏りが発生したという事例も多い箇所です。

▷参考記事:屋根で最も雨漏りしやすい?!谷板金の役目やメンテナンスについて

雨樋、ケラバ、破風

雨樋、ケラバ、破風

雨樋

屋根から地上、もしくは下水へと雨水を導くものを「雨樋(あまとい)」といいます。
また、水平な部分は軒樋、垂直な部分は縦樋と呼ばれます。
昔は樋に使用される素材は亜鉛鉄板が主流でしたが、現在では塩ビが主流となっています。
長期間放置すると落ち葉などが詰まりやすく、そうなると本来の役目を果たさなくなってしまうで、定期的に掃除をしてあげると良いです。

ケラバ

切妻屋根や片流れ屋根の住宅で、雨樋が付いていない端の事を「螻羽(けらば)」と呼びます。
屋根の形状がわからない方はこちらをご覧ください。

あまり見慣れない漢字で、カタカナで表記される事が多いです。
ケラバには、雨の吹込みの防止や、日当たりの調整という役割があります。
雨樋が付いていない部分をケラバと呼ぶのに対して、雨樋がついている部分は軒先と呼ばれます。

破風・破風板

淀の下部に付けられており、屋根の妻側に山形に付けられた板の事を「破風(はふ)・破風板(はふいた)」といいます。
「風を破る」という名前の通り、元々は屋根裏への風の侵入を防止するための板として取り付けられていました。
家へ雨の吹き込みを防ぎ、下地の腐食を防ぐ役割も持っており、現在ではデザイン性の高い、板金加工した破風板が取り付けられる事が多いです。

軒、軒天、淀

軒天、軒先、淀

軒・軒先

屋根の端部分の、外壁から出っ張った部分の事を「軒(のき)」「軒先(のきさき)」といいます。
厳密に言うと、外壁から出っ張っている部分の中で、雨樋が付いた地面に対して平行になる屋根の端が「軒」で、雨樋が付いていない地面に対して傾いている屋根の端が「ケラバ」になります。
ちなみに、軒や軒先、ケラバは部位の名称ではなく場所の名称なので注意しましょう。
役割はケラバと同じで、雨の吹込みの防止や日当たりの調整です。

軒天

屋根の裏側部分で、外壁から外側へ出っ張っている部分を下から見上げた箇所を、「軒天(のきてん)」といいます。
他にも、軒天井、軒裏などと呼ばれますが、全て同じ意味です。
軒先には、外壁を日差しや雨風から守るという役割があります。
しかし、軒先は鳥に巣を作られたり、湿気でカビが生えたりする事も多いので、定期的にチェックするようにしましょう。

参考記事:軒天からの雨漏りの原因とメンテナンス方法を解説

屋根の終わりの部分に使用される部位の事を「淀(よど)」といいます。
地方によっては淀貫(よどぬき)や淀木(よどぎ)とも呼ばれます。
淀には、屋根の終わり部分が風で剥がれないようにしたり、屋根から流れてくる雨水の水切れをよくするという役割があります。

隅棟、雨押え

隅棟、雨押え

隅・隅棟

入母屋屋根や寄棟屋根で、屋根面が交わった部分にできる、隅に向かって傾斜した棟を「隅(すみ)」、または「隅棟(すみむね)」といいます。
また、隅棟部分の構造材は隅木と呼ばれます。

雨押さえ

外壁と開口部の上枠、屋根と壁の取り合い部分などに、雨水の侵入を防ぐために取り付ける板を「雨押さえ(あめおさえ)」といいます。
また、「雨仕舞い(あめじまい)」と呼ばれる事もあります。
古くは素材に木材を使っていましたが、現在ではガルバリウム鋼板が主流です。
雨押さえは雨漏りの原因箇所となりやすいので、定期的なチェック、メンテナンスが必要です。

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