雨漏り予防に必須の「セットバックスターター」の役割

雨漏りは建物の耐久性や居住環境に深刻な影響を与える問題です。特に梅雨の時期や台風シーズンには、その対策が重要となります。そんな中で注目されているのが「セットバックスターター」です。

この記事では、このセットバックスターターがどのように雨漏り予防に効果を発揮するのか、その役割と活用法について詳しくご紹介します。

セットバックスターターの具体的な機能と効果を知り、安心して住まいを守るためにも、ぜひ参考にしてください。

セットバックスターターとは

セットバックスターターとは、屋根の軒先に取り付ける板金のことを指します。

これは屋根のカバー材を設置する際に必要なスターターで、屋根の端から一定の距離を離して取り付けることが可能です。

カバー工法は、既存の屋根の上から新しいカバー材を設置するため、屋根の厚みが増し、屋根が高くなります。

セットバックスターターを設置することで、屋根の軒先に空間を作り、雨水がしっかりと雨樋に流れ込むようになります。

さらに、軒先に空間ができることで屋根下の通気性が良くなり、湿気やカビの発生を防ぎ、屋根の劣化を防止する効果もあります。

屋根工事で使用するスターターには、セットバックスターターの他にも「ゼロスターター」というものもあります。ゼロスターター、屋根の端に直接設置するスターターで、屋根の外観をすっきり見せることができます。

屋根工事を行う際には、セットバックスターターとゼロスターターの役割に合わせて、適切に使い分けることが重要です。

セットバックスターターとゼロスターターの違い

屋根工事を行う際には、適切に使い分けることが重要なセットバックスターターとゼロスターターですが、両者の違いについてご紹介します。

まず、セットバックスターターは、屋根の破損や老朽化などによりカバー工法を行う際に使われる建材です。これは屋根の端部分に設置され、屋根材をしっかりと固定する役割があります。

カバー工法では既存の屋根の上から新しい屋根材をかぶせるため、セットバックスターターを使うことで屋根材の固定と通気性の確保が可能です。

一方、ゼロスターターは屋根の葺き替え工事の際に使用されるスターターです。新しい屋根材を直接屋根の端に取り付けることで、屋根の外観をすっきりとミセル効果があります。

葺き替え工事や新築の屋根工事においては、ゼロスターターを使用して新しい屋根材をしっかりと固定します。

屋根工事において、カバー工法を用いる際には「セットバックスターター」が、葺き替えを行う場合や新築の屋根には「ゼロスターター」が採用されます。

屋根のカバー工法でセットバックスターターが重要な理由

屋根のカバー工法では、セットバックスターターの役割はとても重要です。

ここでは、セットバックスターターが重要な2つの理由について解説していきます。

通気性を確保できる

屋根の端にセットバックスターターを設置すると、屋根の軒先に空間を出すことができます。

これにより、セットバックスターターを設置していない状態よりも屋根下の通気性を確保することができ、湿気やカビの発生を防ぐことができます。

屋根の耐久性・耐水性が向上、雨漏りを予防できる

セットバックスターターを設置することで屋根の軒先に空間を出すことができると、屋根材が既存の屋根材と接触しなくなるため、屋根材を効果的に取り付けることが可能になります。

これにより、既存の屋根材や接触部分に雨水などが入り込むことがなくなるため、屋根表面の雨水を効果的に排水することが可能です。

雨水が効果的に排水されることで、屋根材そのものの効果を最大限に発揮することができるため、屋根の耐久性や防水性を向上させることができ雨漏りの予防にも繋がります。

屋根から雨漏りが発生する原因

屋根の雨漏りの予防効果もあるセットバックスターターですが、そもそもなぜ屋根から雨漏りが起こるのか。ここからは、屋根から雨漏りが発生する原因について、ご紹介します。

屋根から雨漏りが発生する主な原因として以下の4つが挙げられます。

・屋根の経年劣化によるもの
・雨仕舞板金からの雨漏り
・ルーフィングからの雨漏り
・施工不良による雨漏り

順番に見ていきましょう。

屋根の経年劣化によるもの

築年数が経過すると起こりやすい問題の一つとして、屋根の経年劣化があります。

屋根材の耐用年数は材質によって異なりますが、いずれにしても年月の経過とともに破損や劣化が起こりやすくなり、そこから雨漏りが生じることがあります。

具体的な症状としては、屋根材のひび割れや瓦のズレ、板金の浮きなどが挙げられます。このような状態を放置すると、屋根の傷んだ部分から雨水が侵入し、屋根材全体の劣化が進行します。その結果、建物の内部に侵入し、雨漏りに発展します。

屋根の劣化が見られたら、早めに対処することが重要です。

雨仕舞板金からの雨漏り

雨仕舞板金からの雨漏りについてもよく見られる症状です。板金が錆びたりへこんだりすることで、穴が空いて雨漏りが発生します。

特に、築年数の長い戸建て住宅では板金として錆びやすいトタンが使われていることが多く、劣化が進みやすくなります。

また、屋根の頂点にある棟板金は、コーキング材の劣化や台風による風の影響を受けやすく、雨漏りの原因となります。

コーキング材が剥がれていたり、ボロボロになっていたり、台風によって飛ばされたりすると、その部分から雨水が侵入し、棟板金の中にある貫板まで浸水します。

貫板が雨水に濡れることで劣化や腐食が進み、雨漏りが発生します。
雨漏りを防止する雨仕舞いとは?その役割について解説

ルーフィングからの雨漏り

ルーフィングからの雨漏りもよく見られる症状です。ルーフィングは「下葺き材」とも呼ばれ、屋根本体や板金の下に敷く防水シートのことを指します。

ルーフィングが敷かれていることで、屋根材や板金に多少の劣化が見られても雨水の侵入を防ぐことが可能となります。

ルーフィングの耐久年数は使用する製品によって大きく異なり、耐久年数が30年以上の製品もあります。しかし、実際の施工では耐久年数の長い製品が使われることは少なく、築20年を経過する頃には、ほぼ機能しなくなっているのが現状です。

そのため、雨漏りの原因が屋根材や板金にある場合でも、ルーフィングの状態を確認し、必要に応じて張り替えを検討する必要があります。

ただし、ルーフィングを張り替えるには、屋根をすべて剥がさなくてはなりません。カバー工法を検討している場合は、ルーフィングの張り替えはできませんので、施工業者と相談して最適な対策を検討することをおすすめします。

施工不良による雨漏り

屋根からの雨漏りの原因となることはあまりありませんが、施工不良によって起こる雨漏りも一定数あります。

雨漏りの原因として見られる施工不良として、以下のような例が挙げられます。

・屋根と外壁の取り合い部の施工不良
・コロニアルの縁切りを行わなかった

施工不良による雨漏りについては、築年数などは関係なく起こり得るため、異常が見られた場合は速やかに信頼できる専門業者に相談することが重要です。
手抜き工事で雨漏りが再発?実例と業者選びのポイントを解説

屋根修理におけるカバー工法とは

京都府長岡京市にて屋根修理カバー工法施工後

カバー工法とは、既存の屋根の上から新しい屋根材を重ねて施工する方法です。

雨漏りの修理は部分修理で対応できる場合もありますが、一般的には大規模な工事が必要となることが多いです。

屋根修理の中でも、大掛かりなケースとして屋根材をすべて交換する葺き替えが挙げられますが、屋根の状況や種類によっては葺き替えよりは手軽な施工となるカバー工法が可能な場合もあります。

次の章では、カバー工法のメリットとデメリットについて、ご紹介していきます。

カバー工法のメリット

メリット

葺き替え工事よりも手軽にできるカバー工法には、以下に挙げる6つのメリットがあります。

工事費用を抑えられる

カバー工法は、既存の屋根の上に新しい屋根材を重ねるため、既存の屋根の撤去や廃材処分の費用がかかりません。

そのため、葺き替えと比べると施工費用を抑えることができます。

特に、既存の屋根材にアスベストが含まれる場合、葺き替え工事では専門知識のある者が慎重に対処する必要があるため、撤去費用はさらに高額になります。

しかし、カバー工法では既存の屋根材を撤去する必要がないため、アスベストの飛散を防ぐことができ、費用を抑えることにつながります。

なお、アスベストを含有する屋根の改修・解体工事については、こちらの記事にて詳しくご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

工事期間が短い

カバー工法は、既存の屋根の撤去や処分作業がないため、その分、施工期間が短くなります。

さらに、洗浄などの前工程も不要なため、すぐに施工を始めることが可能です。

工事中の雨漏りの心配がない

カバー工法は、既存の屋根を残したまま施工するため、工事の途中で雨が降っても雨漏りする可能性が低くなります。

工事中の騒音やホコリなどのトラブルがない

屋根の葺き替え工事は、工事中の騒音やほこりによって、近隣に迷惑をかけてしまうことがあります。場合によってはトラブルに発展することもあり、注意が必要です。

一方、カバー工法では、騒音やほこりの発生を減らすことができるうえ、工期も短いため、近隣への影響を少なくすることができます。

遮音・遮熱効果が高まる

カバー工法は既存の屋根の上から新しい屋根材を重ねるため、音や熱が伝わりにくくなるといったメリットもあります。

また、屋根材のベースとなる野地板は、湿気による結露に弱い性質がありますが、カバー工法によって屋根材が二重になることで、遮熱効果が働き野地板への温度変化を最小限にすることができます。その結果、結露が起きにくくなるため、野地板の劣化を防ぐことができます。

今後の雨漏りを予防できる

カバー工法を行う際にゼロバックスターターを採用すると、今後の雨漏りを予防することができます。

セットバックスターターを設置することで、屋根の軒先に空間ができ、屋根材が既存の屋根材と接触しなくなります。これにより、屋根材を効果的に取り付けることができ、既存の屋根材や接触部分に雨水などが入り込むことがなくなります。

その結果、屋根表面の雨水を効果的に排水することができるため、雨漏りの予防にもつながります。

カバー工法のデメリット

デメリット

カバー工法には、コストを抑える、遮音・遮熱効果、雨漏り予防などのメリットがある一方で、以下のようなデメリットも存在します。

下地の劣化状況によっては施工できない

屋根材の下には、屋根のベースとなる野地板と呼ばれるものがあり、防水シートが貼られています。

屋根の状態によってこの野地板や防水シートの補修が必要になる場合は、屋根を撤去しなくてはなりません。

この場合は、カバー工法よりも葺き替えを選択する方が良いでしょう。

屋根が重くなる

カバー工法は、既存の屋根材の上から新しい屋根材を重ねるため、屋根が重くなってしまいます。

そのため、カバー工法を実施する前に、建物が屋根の重さに耐えられる強度を持っているか慎重に確認する必要があります。

将来の屋根修理への影響がある

一般的に、カバー工法で補修した屋根の耐用年数は20~30年ほどです。

そのため、将来もう一度屋根の改修工事を行うことになった場合は、カバー工法の選択はできず葺き替え工事一択となります。

また、耐用年数を待たずに自然災害や施工不良などで、屋根の補修が必要になった場合も、カバー工法での修繕はできないため、葺き替え工事になります。

一度カバー工法を行った屋根に対して再度カバー工法を行うことはできませんので、その点は十分に注意しましょう。

火災保険が適用されない

雨漏りの原因が自然災害だった場合、火災保険が適用されることがあります。

ただし、火災保険の利用は原則として「原状復帰」となっているため、カバー工法で朱然する場合には保険が適用されないケースもあります。

自然災害による雨漏り修理を検討している場合には、カバー工法を用いても保険が適用されるか、予め保険会社に確認しておきましょう。

屋根のカバー工法の際の注意点

屋根のカバー工法では、雨漏り予防のためにもセットバックスターターを用いた工事がありますが、すべての業者がカバー工法の際にセットバックスターターを採用するわけではありません。

そのため、セットバクスターターを用いた工事を希望される場合は、見積書に「セットバックスターター」の記載があるか必ず確認しましょう。

もし記載がない場合には、セットバックスターターを使用しない可能性がありますので、契約前にセットバックスターターを用いた工事を希望している旨を伝えるようにしてください。

まとめ

セットバックスターターは、カバー工法を行うにうえで雨漏り予防に必須のアイテムです。

ただし、カバー工法を実施するすべての業者がセットバックスターターを採用するわけではないため、注意が必要です。

屋根修理の匠は、全国の優良屋根修理業者を紹介しています。屋根の改修工事を検討されている方でセットバックスターターを用いたカバー工法を希望される方や、信頼できる優良業者への依頼を希望される方は、ぜひ屋根修理の匠へご相談ください。

優良屋根修理業者を探す

PAGE TOP

LINEでかんたん
問い合わせ&職人案内