東京都の気候に合った屋根材はどれ?屋根のプロが徹底解説

東京

良い住まいの条件のひとつとして「その土地の気候・風土にあった住まい」であることが挙げられます。
中でも屋根は、建物とそこで暮らす人たちを雨風や紫外線、気温の変化から守るという大切な役割を持っているため、屋根材選びは住まいづくりをする上で非常に重要です。

しかし日本列島は南北に長く、亜寒帯から温帯、亜熱帯までさまざまな気候帯に属しているので、求められる屋根の性能は地域によって異なります。
そこで本記事では、東京都の気候と東京都の住まいに合った屋根材を紹介します。

地域によって異なる住まいの屋根

日本列島は南北に縦長に広がる特徴があります。また四方が海に面しているため海流などの影響で、日本海側では冬に雪や雨の日が多く、太平洋側では冬は晴れた日が多いといった天候の違いが顕著です。そのため建物の構造や屋根の形状、屋根材の種類にも地域差があります。

気候・風土にあった住まいにするためには、それぞれの地域の気候の特徴を事前に良く把握しておく必要があるといえます。
たとえば冬に降雪が多い北海道や東北地方においては、積雪を最小限にとどめる工夫を施した屋根や雪下ろしがしやすい屋根を多くみかけます。フラットな陸屋根や重い瓦屋根の家を見かけることは他の地域よりも少ないといえるでしょう。

そして、毎年多くの台風の進路になったり梅雨前線が停滞したりすることが多い九州・沖縄地方では、屋根の風水害対策が不可欠です。

寒暖差のある東海・近畿地方では冬の寒さよりも夏の暑さ対策を重視した住まいを建てることが多く、屋根にもその傾向がみられます。

さらに潮風の影響を強く受ける沿岸部にあっては、屋根の塩害対策や強風対策を欠かすことができません。
このように同じ屋根であっても地域によってさまざまな特徴があり、屋根形状や屋根材の種類にも違いがみられます。
万が一屋根の形状や屋根材の選択を誤ってしまうことにでもなれば大切な建物の寿命を縮めてしまうばかりか、雨漏りなどの二次災害を引き起こす原因にもなってしまうので、屋根の仕様は慎重に検討することが大切です。

東京都の気候について

東京都

東京都の気候は、夏は湿度が高くて蒸し暑く、冬は寒くて晴れの日が続きます。
平均気温はWeatherSparkによると次のようになります。東京都は6月下旬から9月中旬まで暑い時期が約2.7か月続き、その間の1日の最高気温は平均で26℃を超えます。

また1年のうちで最も暑い月は8月で、平均最高気温は30℃、最低気温は24℃です。
さらに近年では35℃を超えるような厳しい暑さに見舞われることもしばしばあり、エアコンなしで過ごすことが困難になっています。

一方、寒い時期は12月上旬から3月中旬までの約3.5か月で、1日あたりの平均最高気温は13℃未満になります。そして1年のうちで最も寒い1月の平均最低気温は3℃、平均最高気温は9℃です。

東京都の年間の平均気温は15℃前後ですが長期的には上昇傾向にあり、この変化には地球温暖化に加えて都市化によるヒートアイランド現象による影響が現れているといわれています。したがって21世紀末の東京都は、気温がさらに上昇することが予想されます。

スーパーコンピューターを用いた気象庁の地球温暖化の予測によると、21世紀末には年平均気温が約3℃上昇し、真夏日(最高気温が30℃以上の日)日数が年間で約40日も増加する一方で、冬日(最低気温が0℃未満の日)日数は年間で約20日減少するといわれています。

そして東京都における体感湿度には極めて大きい季節変動があり、6月上旬から9月下旬までは蒸し暑くて不快な日が続く一方で、12月から3月下旬までは基本的に蒸した日はありません。

また東京都における最も降雨の多い月は9月で、平均降雨量は186ミリメートル(梅雨の時期の6月は153ミリメートル)になり、降雨の少ない月は1月で平均降雨量は48ミリメートルになっています。

以上のように東京都の全体的な気候の特徴は、夏は蒸し暑くなるものの年間を通して比較的温暖で、冬は良く晴れて乾燥し、秋に雨が多いといえます。
高層ビルなどが気温や風などにもたらす影響が大きく、さらに海に面する地域は海からの影響を受けやすいため、風の吹き方や気温の変化、湿度などが内陸側と異なる場合があります。

東京都の気候に合った屋根材とは?

前述したように東京都においては「冬の寒さよりも夏の暑さに対抗するための住まいづくり」を行うことが不可欠といえます。そこで屋根材には遮熱・断熱性能が求められます。

真夏の屋根の表面温度は80℃を超えるといわれ、こうした熱が屋根裏に伝わることを防いでくれるのが空気層です。したがって屋根材の下に空気層を設けることで、熱を大きく遮断することができるようになります。

この点においては昔ながらの瓦屋根(陶器瓦、いぶし瓦、素焼き瓦等)は波型の形状をしているため、波部分と屋根面との間の隙間が空気層としての役割を果たします。

さらに天井裏に断熱材を隙間なく敷き詰めて小屋裏換気を設けることで、真夏の暑さ対策として効果を発揮します。
しかし瓦屋根は重くなるので、構造躯体を強固にしないと大きな地震が発生した際に建物が倒壊してしまうリスクがあります。
そのため近年の住宅では、スレート(コロニアル)やアスファルトシングル、金属屋根などが使用されることが多くなっていますが、これらの屋根には一般的に空気層がありません。(金属屋根の一部には空気層を形成することができるものもあります)

そこで屋根をリフォームする場合には、屋根ごと遮熱機能付きの屋根材に葺き替えてしまうことをおすすめします。
遮熱機能付きの屋根材には、ケイミュー株式会社の「遮熱グラッサシリーズ」やニチハ株式会社の「横暖ルーフシリーズ」、アイジー工業株式会社の「スーパーガルテクト」などがあります。
さらに室温の上昇を防ぐために棟に換気孔のある換気棟を設けることで小屋裏の熱気を屋外に排出することができるようになると共に、湿気も排出できるので、結露防止対策としても有効になります。

その他では、同じ屋根材であっても屋根を明るめの色にすることで遮熱性を向上させることができます。
黒色や濃い茶色といった暗い色よりも薄いグレーやシルバー色といった白色に近い明るい色を選んだ方がより遮熱性が高いので、この点についても頭に入れておくと良いでしょう。

【関連記事】


まとめ

日本は南北に長い形状のため、北と南とでは気候・風土が大きく異なります。
本記事では東京都の気候に合った屋根材を紹介しましたが、屋根形状についても地域性をよく検討することが大切です。

比較的急勾配の切妻屋根や片流れ屋根は直射日光から居室を遠ざけることができるので、室内への熱を遮断して暑さ対策にも有効になります。逆に風が強い沿岸地域や台風が多い地域であれば、風の影響を受けにくい形状で屋根の勾配も緩い方が有利になります。

地域の気候に合わせて屋根形状や屋根材を選ぶことは、建物や快適な住環境を維持するために非常に重要なことなので、本記事の内容を屋根材選びの参考にしていただけたら幸いです。

優良屋根修理業者を探す

PAGE TOP

LINEでかんたん
問い合わせ&職人案内