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方形屋根(ほうぎょうやね)と聞いて、すぐにピラミッド型の屋根をイメージできる人は少ないのではないでしょうか。
方形屋根と似た屋根として寄棟屋根がありますが、これらの屋根の違いを説明するのは簡単ではありませんよね。
そこで今回は、方形屋根とほかの勾配屋根のちがいやメリット・デメリット、さらに方形屋根のメンテナンスにかかる費用などを解説します。
方形屋根ならではのメリットデメリットを把握して、メンテナンスで損しないようにしましょう。
方形屋根(ほうぎょうやね)とは、寄棟屋根の一種に分類され、四角錐の形状をした屋根のことをいいます。
ピラミッド型の形状をしており、上空から屋根を見下ろした場合には正方形に見えるのが特徴です。
方形屋根は、正方形の間取りをした建物に適した屋根ですが、切妻屋根などに比べると一般住宅の屋根で見られることはそこまで多くありません。
しかし、屋根の雪おろしなどに適した形状のため、雪の多い寒冷地などでは採用される傾向があります。
方形屋根は、一般的な住宅で見られる勾配屋根と異なる特徴を持っています。
ここでは方形屋根の特徴を正しく理解するために、方形屋根と以下3つの勾配屋根のちがいについて解説していきます。
・切妻屋根
・寄棟屋根
・片流れ屋根
それでは、順番に方形屋根とのちがいを見ていきましょう。
切妻屋根とは、一般的に「三角屋根」と呼ばれる屋根のことをいい、日本における多くの屋根で採用されています。
棟包みから軒樋に向かって二方向の傾斜があり、本を開いた状態で伏せたような形状をしています。
方形屋根に比べてシンプルな屋根の形状をしているため、メンテナンス費用の削減や雨漏りリスクの軽減などのメリットがあります。
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寄棟屋根とは、棟包みから軒樋に向かって四方向に傾斜している屋根のことをいいます。
切妻屋根と同様に住宅の屋根として採用されることが多く、その意匠性の高さから世界的に高い人気を誇っています。
方形屋根は寄棟屋根の一種に分類され、メリット・デメリットともに類似した部分も多く見られます。
しかし方形屋根には、四角錐をした屋根形状や、採用できる住宅が正方形の間取りをした建物に限定されるなど、寄棟屋根とのちがいが顕著に見られます。
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片流れ屋根とは、棟包みから軒樋に向かって一方向に傾斜面のある勾配屋根のことをいいます。
四角錐の屋根形状をしている方形屋根に対して、片流れ屋根はシンプルな屋根形状をしているため、メンテナンスコストの削減や雨漏りのリスクを大きく軽減できます。
また片流れ屋根は、比較的住宅が密集した土地にある建物の屋根に適しており、そのスタイリッシュな屋根形状や、省スペースの建物を好む若い世代に高い人気を誇っているのも特徴的です。
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寄棟屋根の一種である方形屋根には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
そこでここでは、方形屋根のメリットについて解説します。
方形屋根のメリットは、以下の3つです。
・外壁の劣化を防げる
・屋根上の雨や雪を分散しやすい
・屋根の内部構造を強固にできる
ひとつずつ簡単に解説していきます。
方形屋根では全方角の外壁に軒天があるため、太陽の紫外線や雨風による外壁の劣化を防ぐことができます。
また、切妻屋根や片流れ屋根に比べてカバーできる外壁面が多いため、雨漏りなどのリスク軽減につながります。
方形屋根は寄棟屋根と同じく四方向に屋根が傾斜しているため、ほかの勾配屋根よりも屋根上の雨や雪を分散しやすいという特徴があります。
このような特徴により、屋根材の劣化や建物内部への雨漏りを回避しやすくなり、屋根のメンテナンスサイクルを遅らせることも期待できます。
また、方形屋根は雪おろしなども比較的容易にできるため、寒冷地の住宅に適した屋根と言えるでしょう。
方形屋根は、上空から見下ろした際に正方形の屋根形状をしているため、屋根内部の構造を強固にできます。
これにより、地震や台風などの自然災害に強い屋根になるため、頑丈な建物にすることができるでしょう。
残念ながら、寄棟屋根と同様に方形屋根にもデメリットがあります。
ここでは、寄棟屋根のデメリットを見ていきましょう。
方形屋根のデメリットは、以下の3つです。
・雨漏りする可能性が高い
・屋根裏の換気性能が低い
・大容量の太陽光発電を設置できない
それでは、それぞれデメリットを見ていきましょう。
四角錐の屋根形状をしている方形屋根は、雨漏りする可能性が高いというデメリットがあります。
寄棟屋根は屋根の頂点に棟包みがあるのに対して、方形屋根は防水コーキングによる防水処理のみ。
防水コーキングは主に太陽の紫外線によって劣化するため、年数の経過とともにほかの勾配屋根よりも雨漏りする可能性が高くなります。
さらに積雪の多い寒冷地では、定期的な屋根の点検やメンテナンスサイクルの調整による雨漏り対策が欠かせません。
屋根の高さが低く、屋根裏に十分なスペースが取れない方形屋根は、ほかの勾配屋根に比べて屋根裏の換気性能が低くなる傾向があります。
屋根裏の換気性能が低い場合、屋根裏に湿気がたまりやすく、カビなどが発生する恐れもあります。
この対策として、換気棟の採用や軒天部分に換気口を設けるといった施策が挙げられます。
四角錐の形状をしている方形屋根には、大容量の太陽光発電は設置できません。
屋根の頂点に棟包みのある寄棟屋根に比べれば、各屋根面に多くの太陽光パネルを設置できますが、それでも切妻屋根や片流れ屋根に比べると設置できる太陽光パネルの容量は劣ってしまいます。
当然のことながら、太陽光発電による発電量は屋根に設置できる太陽光パネルの容量に比例します。
大容量の太陽光発電を設置したいなら、方形屋根ではなく切妻屋根や片流れ屋根など太陽光発電に適した屋根の採用を検討しましょう。
方形屋根は、四角錐の形状で屋根の頂点が防水コーキングによる仕上げのため、ほかの勾配屋根に比べてメンテナンス費用が高くなる傾向があります。
そのため、方形屋根をメンテナンスする際には、屋根の劣化具合や耐用年数、さらに今後の住まい方などを考慮して適切なメンテナンス方法を選ぶ必要があります。
そこでここでは、方形屋根におけるメンテナンス方法と費用の目安について解説していきます。
方形屋根のメンテナンス方法は、大きく以下の3つに分かれます。
・部分補修
・塗り替え
・屋根の葺き替え
それでは、それぞれメンテナンス費用の目安も合わせて見ていきましょう。
方形屋根における部分補修の方法と費用は、屋根の劣化状況や破損具合などによって大きく異なります。
小規模な破損だからといって安易に部分補修を選択するのではなく、屋根下地の状況や屋根材の耐用年数などを総合的に捉え、場合によっては屋根の葺き替えなども視野に入れましょう。
なお、方形屋根の部分補修には、以下のようなメンテナンス方法が挙げられます。
・樋清掃
・部分的な屋根材の補修/交換
また、それぞれの部分補修におけるメンテナンス費用の目安は、以下のとおりです。
部分補修の内容 | メンテナンス費用の目安 |
樋の清掃 | 1〜5万円 |
部分的な屋根材の補修・交換 | 3〜10万円 |
なお、部分補修の作業内容によっては、別途仮設足場の費用が加算されることがあります。
一般的に、方形屋根を塗り替える際には、以下のような塗料を採用します。
・ウレタン塗料
・シリコン塗料
・フッ素塗料
これらの塗料はそれぞれ目安となる耐用年数が異なり、耐用年数が長いほどメンテナンス費用も高騰します。
このことから、屋根の塗り替えにおける塗料の選定においては、各塗料の特徴を十分に把握し、メンテナンスにかけられる予算や屋根のメンテナンスサイクルを踏まえることが必要不可欠と言えます。
方形屋根の塗り替えにおけるメンテナンス費用の目安は、以下のとおりです。
塗料の種類 | 1㎡あたりのメンテナンス費用の目安 |
ウレタン塗料 | 2,000~3,000円 |
シリコン塗料 | 3,000~4.500円 |
フッ素塗料 | 3,500~5,500円 |
なお、実際の工事では、上記金額に別途仮設足場の費用が加算されます。
屋根における耐用年数の超過や著しい劣化の症状、さらには雨漏りなどによって屋根下地に傷みが生じた場合には、屋根の葺き替えを選択しましょう。
屋根の葺き替えにおける最大のメリットは、屋根下地を同時にメンテナンスできること。
屋根下地にあたるルーフィングシートや野地板などは、普段の屋根点検では状態を確認できません。
しかし、既存の屋根材を一度すべて剥がす屋根の葺き替えでは、屋根下地の確認や症状に合わせたメンテナンスが可能なため、屋根の防水性を大幅に回復できます。
なお、方形屋根を葺き替える際には、以下のような屋根材を採用し、屋根材によってメンテナンス費用は大きく異なります。
各屋根材におけるメンテナンス費用の目安は、以下のとおりです。
屋根材の種類(施工費:含) | 1㎡あたりのメンテナンス費用の目安 |
スレート屋根 | 4,500〜7,000円 |
ガルバリウム鋼板 | 6,500〜9,000円 |
陶器瓦・洋瓦 | 8,000〜15,000円 |
なお実際の工事では、上記金額に別途仮設足場の費用が加算されます。
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今回は、方形屋根とほかの勾配屋根のちがいやメリット・デメリット、メンテナンスにかかる費用などを解説しました。
方形屋根とは、寄棟屋根の一種に分類され、四角錐の形状をした屋根のこと。ピラミッド型の形状をしており、上空から屋根を見下ろした場合には正方形に見えるのが特徴です。
寄棟屋根に似たメリットが多い中、屋根の内部構造を強固にできるといった方形屋根ならではのメリットがあります。
しかし一方で、頂点が防水コーキングで仕上げているため、ほかの勾配屋根に比べて雨漏りリスクが高いというデメリットがあり、専門業者による定期的な屋根点検や適切なメンテナンスが欠かせません。
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