どの屋根材を選べば良いの?各屋根材のメリット・デメリットについて

新しく家を建てる時、そして屋根のリフォームを行う際は、数ある屋根材の中からご自身が気に入ったもの、要望を満たすものを選ぶ必要があります。
ただ、いざ選べと言われても、各屋根材のメリット・デメリットを把握していないと、何を基準に選べば良いのかわかりません。
業者と相談しながら決めるのももちろん良いのですが、業者はどうしても自社で推している屋根材を勧めがちです。
しかし、業者の都合は施主側には関係がありません。
ご自身の要望、予算、ライフスタイル、長期的な視点に合った屋根材を選ぶようにしましょう

ここでは、代表的な4つの屋根材について、各屋根材の特徴、メリット、デメリットをまとめましたので、屋根材を選ぶ際の参考にしてください。

瓦の特徴・メリット・デメリット

まず、代表的な屋根材の一つである「瓦」です。
瓦は、茶碗などと同じく陶器であり、粘土で瓦の形を造り、高温で焼き上げたものです。
古くから日本家屋に多く使用されており、陶器なので重量があるのが難点でしたが、最近では従来の粘土より軽量な粘土を使って作られた「軽量瓦」も人気です。

瓦のメリット

瓦の一番のメリットは、コストパフォーマンスが非常に良いという事です。
屋根材の中で最も耐用年数が長く、一番長持ちします。

さらに、他の屋根材は早くて10年、長くて20年毎にメンテナンスが必要となりますが、瓦は50年以上の耐用年数を誇るので基本的にはメンテナンスフリーです。
他の屋根材のように10〜20年で葺き替え、もしくは屋根塗装の必要が無いというのは長期的に考えればかなり大きなアドバンテージです。
また、陶器でできているため、色褪せもほとんど起こらないので美観を損ねる心配もありません
そして、瓦自体が非常に密度の高い屋根材ですので、遮音性や断熱性にも優れます。

瓦のデメリット

瓦の一番のデメリットは、初期費用が高い事です。
瓦は屋根材の中でも価格が高い部類に入り、さらに施工に関しても専門的な技術が必要となります。
ですので、瓦自体の材料費や施工料、全体を通して初期費用が高額になりがちです。

また、他の屋根材と比べると重量があるので、屋根にかなりの重さがかかります。
新築時に瓦屋根の住宅は、その分住宅の躯体自体が頑丈に建てられているので良いのですが、新築時に瓦以外の屋根材を使用していた住宅に、後から瓦を葺くのは止めた方が良いです。

スレートの特徴・メリット・デメリット

「スレート」は厚さ5mm程度の、セメントに繊維を混ぜ込み固めて作られた屋根材です。
現在、日本の住宅では一番多く使用されている屋根材です。
「化粧スレート」というのが正しい名前ですが、カラーベストやコロニアルと呼ばれる事の方が多く、皆さんも聞き馴染みがあるかもしれませんね。

スレートのメリット

スレートのメリットは、初期費用を安く抑えることができる事です。
実は、スレート自体は瓦より値段が高い場合もあるのですが、スレートは屋根材の中でも非常に加工がしやすい屋根材で、施工費などトータルで見ると費用を安く抑えることが可能です。

また、屋根材の中でも普及率がかなり高いので、およそほとんどの屋根工事業者が対応可能なので、工事や万が一のトラブルの際にも安心です。
さらに、スレートは薄くシンプルなデザインなので、どんな住宅の外観にでも合わせやすいです。
カラーバリエーションも豊富なので、お客様側で選ぶ楽しみがあるのも人気の秘訣ですね。

スレートのデメリット

スレートのデメリットは、後々に屋根塗装が必要になる事です。
スレートは新品の状態で塗装がされていますが、塗膜は紫外線に弱いので必ず経年劣化が起こります。
再塗装しないからといってすぐに雨漏りが起こる訳ではありませんが、屋根材の表面が色褪せしボロボロになるので、見た目がかなり悪くなってしまいます
屋根塗装の相場は80万円程度ですので、十数年に一度の再塗装は、屋根にかけるトータルコストをかなり高めてしまう要因になります。

また、他の屋根材と比較すると割れやすいという特徴もあります。
他の屋根材に比べて、メンテナンスにかける費用が高額になりやすいのがスレートの大きなデメリットです。

アスファルトシングルの特徴・メリット・デメリット

アスファルトシングルとは、アスファルトを浸透させた防水紙に、石粒を吹き付けた屋根材です。
シート状なので施工しやすく、複雑な形状の屋根にも施工する事が可能です。
アスファルトシングルは特にアメリカでの普及率が非常に高く、100年も前から使用されている定番の屋根材です。

アスファルトシングルのメリット

アスファルトシングルのメリットは、まずその丈夫さが挙げられます
手で持つとしなる柔軟さを持っているので、割れる事がありません
また、素材が防水紙、つまり紙でできているので錆びる心配も無く、色褪せもしません
石粒の色によってカラーバリエーションも豊富、洋風の家はもちろん、和風の落ち着いた雰囲気の住宅にも合わせやすい屋根材です。

アスファルトシングルのデメリット

アスファルトシングルのデメリットは、台風などの強風時には剥がれてしまう恐れがある事です。
剥がれてしまう理由としては、施工時にしっかり接着できていなかったという人為的なミスと、経年劣化により接着剤が固まってしまい、その箇所の接合が弱くなってしまう経年による2つの原因があります。
また、施工後一定期間は、アスファルトシングルの表面についた小石がボロボロと剥がれ落ちてくる事があります。
メンテナンスの期間も短く、5〜10年で一度は点検をする必要もあり、他の屋根材より普段から気にかけながら付き合っていかないといけません。

【アスファルトシングルの施工実績】


金属屋根の特徴・メリット・デメリット

金属屋根とは、その名前の通り金属製の薄く長い板状になった屋根材です。
複雑な形状の屋根にも使用する事が可能で、大型施設から一般住宅まで、あらゆる場所で幅広く使われています。
以前は素材として「トタン板」が主に使用されていましたが、現在では「ガルバリウム鋼板」という素材が普及しています。
それ以外にも、アルミニウムや亜鉛合金、スチールなども素材として使われており、非常に軽量です。

金属屋根のメリット

金属屋根のメリットは、何よりもその軽量さが挙げられます。
瓦の10分の1程度の重量しかないので非常に軽量、その上防水性も高いです。
防水性が高いために、勾配が緩い屋根でも施工が可能という他の屋根材には無い特徴も持っています。
また、加工が簡単なので複雑や形状の屋根にも対応可能で、様々な形のラインナップがメーカーから販売されています。

金属屋根のデメリット

金属屋根のデメリットは他の屋根材と比べると少し多くなっています。
まず、大きく軽量な一枚板の屋根材なので、劣化した状態だと台風などの強風時には飛んでしまう恐れがあります。

次に、イメージしやすいと思いますが、素材が金属なので遮音性が悪いです。
瓦屋根の住宅にお住いの方であれば、金属屋根に変われば雨が屋根を叩く音などがかなり気になるのではないでしょうか。

また、断熱工事を行えば多少マシにはなりますが、素材が金属なので熱伝導率が非常に高く、夏場はかなり暑くなってしまいます
さらに、屋根材にできたキズやヘコミから錆が発生する事があり、海に近い環境では更に錆びやすくなります。
10年前後で再塗装の必要があるので、屋根にかけるトータルコストも高くなりがちです。


ただし最近の金属屋根材では、断熱材付きの屋根材も多く販売されており、そうした商品は断熱性や遮音性が向上しています。また、ガルバリウム鋼板はトタンの3~6倍錆びにくく、さらにガルバリウム鋼板を改良したSGL鋼板は耐食性が高く、塩害にも強い屋根材です。
ガルバリウムより高性能なSGL(エスジーエル)鋼板とは?

【金属屋根の施工実績】


屋根材は「今後の居住年数」で決める

上記で主な屋根材の特徴、メリット・デメリットをご説明しましたが、どの屋根材にも一長一短があるのがお分かりいただけたかと思います。
では、何を基準に屋根材を選べば良いのでしょう?

屋根材を決める決定的な要因として、「今後、そのお家に住むであろう居住年数」が一つの目安となります。

例えば、「新築で家を建てて、ここにずっと住む」、「綺麗にリフォームして孫の代まで住めるようにしたい」など、現在お住まいの住宅に対して長期的な計画をお持ちで、30年以上住む予定の場合であれば、瓦をお勧めします
瓦は初期費用こそ高いものの、施工後のメンテナンスが基本的には不要なので、長期的に見れば屋根にかけるトータルコストを抑える事ができるからです。

逆に、「定年退職したら、この家は売って田舎に戻って暮らしたい」、「子供が成人する頃には好きな土地に移住したい」など、10〜15年前後で住み替え、引越しの可能性がある方であれば、スレートも良いでしょう。
スレートに必要な十数年に一度の再塗装の時期を迎えるタイミングで住み替えれば、屋根に必要以上の費用をかける事もありません。
もっと短いスパンで住み替え、引っ越しをご検討されている方であれば、5〜10年で一度は点検をする必要があるアスファルトシングルも選択肢に入ってきます。

このように、屋根材を選ぶ際は、特徴や初期費用だけで選ぶのではなく、長期的なスパンでご自身のライフスタイルを熟考し、屋根にかけるトータルコストが安く収まる屋根材を選ぶのも一つの方法です。

屋根を選ぶ際に、屋根修理業者に相談するのも有効な手です。
優良な業者は、お客様のライフプランに合わせた屋根材を提案してくれます。

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