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「切妻屋根」と聞いて、どのような屋根のことを指すのかイメージできますか?
普段の生活で何度も目にしているにもかかわらず、切妻屋根のことをくわしく知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、切妻屋根とほかの勾配屋根のちがいやメリット・デメリット、メンテナンスにかかる費用などについて解説していきます。
切妻屋根の特徴を知って、計画的に効率よく屋根をメンテナンスしましょう。
切妻屋根とは、勾配屋根における形状の一つで、屋根の最上部にある棟から地上に向けて伸びる二つの傾斜面から構成される山型の形状をした勾配屋根のことをいいます。
この二つの傾斜面は南北面に向いていることが多く、東西面から見た場合には屋根の棟を頂点とした山型の形状をしています。
切妻屋根は戸建て住宅などで数多く採用されており、そのシンプルな形状からほかの勾配屋根に比べてコストの削減や、雨漏りのリスクを下げられるなどの特徴があります。
戸建て住宅に採用される勾配屋根は、切妻屋根のほかにもいくつかの形状があります。
そこでここでは以下2つの勾配屋根について、切妻屋根とのちがいを確認していきます。
・寄棟屋根
・片流れ屋根
それでは、各勾配屋根の特徴を詳しく見ていきましょう。
寄棟屋根とは、屋根の最上部にある棟から地上に向けて伸びる四つの傾斜面から構成される勾配屋根のことを指します。
東西南北すべての面に対して屋根が傾斜している形状のため、切妻屋根に比べて耐久性が高く、屋根に重厚感を持たせることができます。
しかし一方で、その複雑な屋根形状からコスト面が割高になってしまいます。
また棟などの接続部が増えてしまうため、雨漏りのリスクも高くなります。
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片流れ屋根とは、屋根の最上部にある棟から地上に向けて伸びる傾斜面が一つしかない勾配屋根のことを指します。
屋根の傾斜面が一面しかないため、住宅が密集している省スペースの建物に適しています。
建物側面から屋根を見た場合、三角のスタイリッシュな形状をしているため、その高い意匠性が若い世代を中心に人気を集めています。
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多くの戸建て住宅に採用されている切妻屋根には、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ここでは、切妻屋根のメリットについて解説していきます。
切妻屋根のメリットは、以下の7つです。
・メンテナンスコストが安い
・短工期
・換気性が高い
・屋根の表面に雨や雪が残りにくい
・さまざまな種類の屋根材を採用できる
・太陽光発電を設置しやすい
それでは、ひとつずつ簡単に解説していきます。
切妻屋根は、ほかの勾配屋根に比べてメンテナンスコストを抑えることができます。
屋根形状がシンプルなため、メンテナンスに必要な材料を最小限に抑えられるため、工事の際に出る廃材の量も減らせます。
また、ほかの勾配屋根に比べて雨漏りのリスクも低いため、長期的なメンテナンスコストも削減できます。
このように切妻屋根は、近年における建物の長寿命化にも適した屋根と言えるでしょう。
屋根形状がシンプルな切妻屋根は、ほかの勾配屋根に比べて工期を短縮できます。
工事の進み具合が天候に左右されやすい屋根工事では、短工期の切妻屋根は大きなメリットになります。
また、屋根工事では騒音や業者の車両など近隣住民に十分な配慮が必要です。
短工期の切妻屋根なら、このような近隣住民への配慮も最小限で済むでしょう。
切妻屋根はほかの勾配屋根に比べて屋根裏のスペースが広く取られているため、換気口を設置することで高い換気性を実現できます。
定期的に屋根を換気することは、屋根全体の劣化を防ぐことにもつながります。
これに伴い、屋根におけるメンテナンスコストの削減も期待できるでしょう。
切妻屋根は、寄棟屋根などに比べてシンプルな形状をしているため、屋根の表面に雨や雪が残りにくいというメリットがあります。
屋根表面に雨や雪が残ってしまうと、建物内部への雨漏りや積雪による屋根の破損などのリスクが考えられます。
なかでも建物内部への雨漏りは、建物の寿命を縮めることにもつながるため、早急な対応が必要になります。
しかし、切妻屋根は屋根表面に雨や雪が残りにくいため、このようなことを心配する必要はありません。
切妻屋根は、そのシンプルな形状や幅広く普及していることから、さまざまな種類の屋根材を採用できます。
汎用性が高く屋根材の選択肢が多いため、メンテナンスで屋根を葺き替える際などには、屋根の耐久性や意匠性など希望の用途に合った屋根材を自由に採用可能です。
切妻屋根は、屋根表面がフラットな形状で屋根面積も広いため、太陽光発電の設置に適しています。
屋根表面に架台を設けて太陽光発電を設置することはもちろんのこと、建物の強度によっては屋根に太陽光発電をビルトインする施工方法も選択できます。
これにより、商品や施工方法などあらゆる面から太陽光発電を検討できるため、太陽光発電を設置するハードルを下げられます。
また、ほかの屋根に比べてシンプルな形状をしているため、高い発電効率も期待できるでしょう。
汎用性が高く、たくさんのメリットを持つ切妻屋根にもデメリットはあるのでしょうか。
ここでは、切妻屋根のデメリットについて解説していきます。
切妻屋根のデメリットは、以下の2つです。
・ほかの切妻屋根と差別化が困難
・妻側の外壁が劣化しやすい
順に見ていきましょう。
切妻屋根のメリットは、シンプルな形状で広く普及していることです。
しかしこのような特徴によって、ほかの屋根とデザインが酷似する可能性が高く、差別化が困難というデメリットがあります。
屋根の意匠性に強いこだわりがある人にとっては、物足りないと感じてしまうかもしれません。
切妻屋根はその形状により、建物の妻側外壁が劣化しやすいというデメリットがあります。
東西南北すべての面に軒のある寄棟屋根に対して、切妻屋根では軒のある面が2つに限定されます。
屋根に軒がない面の外壁(妻側外壁)は、常に紫外線や雨風にさらされてしまうため、劣化の進行が早くなってしまう傾向があります。
切妻屋根のメンテナンス方法は、屋根全体の劣化状況によって大きく異なります。
ここでは、切妻屋根のメンテナンス方法とその費用について解説していきます。
切妻屋根のメンテナンス方法は、大きく以下の3つに分けられます。
・部分補修
・塗り替え
・屋根の葺き替え
それでは、個々に見ていきましょう。
切妻屋根の部分補修は、劣化状況や破損箇所などによって大きく異なり、補修方法や範囲によっても費用が大きく変動します。
切妻屋根の代表的な部分補修には、以下のようなものがあります。
・樋清掃
・屋根材の部分補修/交換
・棟板金の部分補修/交換
・棟瓦の部分補修/漆喰の打ち直し
切妻屋根の部分補修におけるメンテナンス費用の目安は、以下のとおりです。
修理内容 | メンテナンス費用の目安 |
樋清掃 | 1〜5万円 |
屋根材の部分補修/交換 | 3〜10万円 |
棟板金の部分補修/交換 | 5〜50万円 |
棟瓦の部分補修 漆喰の打ち直し |
10〜50万円 |
なお、部分補修の内容や範囲によっては、上記の金額に別途仮設足場の費用が加算されます。
切妻屋根の塗り替えでは、以下のような塗料を使用します。
・ウレタン塗料
・シリコン塗料
・フッ素塗料
これらの塗料はそれぞれメンテナンスサイクルの目安が異なり、メンテナンスサイクルが長いほどかかる費用も高くなります。
また、塗料を選定する際には、予算はもちろんのこと建物をあと何年メンテナンスしていくかということも視野に入れて検討しましょう。
切妻屋根の塗り替えにおけるメンテナンス費用の目安は、以下のとおりです。
塗料の種類 | メンテナンス費用の目安(㎡) |
ウレタン塗料 | 2,000~3,000円 |
シリコン塗料 | 3,000~4,500円 |
フッ素塗料 | 3,500~5,500円 |
なお実際の工事では、上記の金額に別途仮設足場の費用が加算されます。
屋根の葺き替えとは、すべての屋根材を新しい屋根材に交換する工法のこと。
既存の屋根材をすべて剥がすため、屋根の葺き替えと同時に野地板やルーフィングシートといった屋根下地もメンテナンスできるのが特徴です。
屋根下地を適切にメンテナンスした上で屋根を葺き替えることにより、屋根の防水性を大幅に回復できるため、屋根を新築時に近い状態へ戻すことができます。
なお、切妻屋根の葺き替えにおけるメンテナンス費用の目安は、採用する屋根材によって以下のように大きく異なります。
屋根材の種類(施工費:含) | メンテナンス費用の目安(㎡) |
スレート屋根 (カラーベスト/コロニアル) |
4,500〜7,000円 |
ガルバリウム鋼板 | 6,500〜9,000円 |
日本瓦(陶器瓦) | 8,000〜15,000円 |
洋瓦 |
なお実際の工事では、上記の金額に別途仮設足場の費用が加算されます。
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今回は、切妻屋根とほかの勾配屋根のちがいやメリット・デメリット、メンテナンスにかかる費用などについて解説しました。
切妻屋根とは、勾配屋根における形状の一つで、屋根の最上部にある棟から地上に向けて伸びる二つの傾斜面から構成される山型の形状をした勾配屋根のことをいいます。
切妻屋根には多くのメリットがある反面、その屋根形状から外壁が劣化しやすいといったデメリットも存在します。
屋根の劣化状況によっても適切なメンテナンス方法が異なるため、切妻屋根のメンテナンスはこれらの特徴を理解した専門業者に依頼しましょう。
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