屋根からの雨漏りについて解説

屋根は家を守る最も重要な場所であることは間違いありません。

特に雨を真正面から受けるため、雨水からのガードになっています。逆の視点だと、屋根が正しく機能しないと家の雨漏りに繋がります。

このページでは屋根からの雨漏りはどのような場合に起きてしまうのか解説します。

屋根の雨漏りについて

屋根の雨漏りとは?

雨水が屋根下地(野地板・構造用合板)の裏面や梁・さらには天井材や内装材への侵入する現象のことです。

・天井材のシミ

天井材のシミ

・屋根下地裏側への漏水(乾くと白っぽくなります)

屋根下地裏側への漏水

・屋根下地裏側への漏水

屋根下地裏側への漏水 

日本瓦などは風雨が強いときは瓦の上下もしくは左右の勘合から下地防水上に吹き込むことがありますが、この現象は雨漏りとは言えません。

瓦自体の雨の処理方法がこのように考えられているからです。下地防水上の雨水は晴れた日に蒸発し、瓦の隙間から外へ出てきます。

昔は瓦の下には防水紙ではなく土がこの役割をしていました。

瓦は昔は防水紙ではなく土だった

雨漏りがわかるとき

①天井からぽたぽた音がする。

②天井や柱にシミができた。

③さらに床や内装材・家具などが濡れた。

雨漏りを放置すると

①室内の湿気が多くなりカビ・ダニが発生しやすくなる。

②天井断熱材などが水気を吸うと断熱材中の空気が抜けて断熱性能を果たさなくなる。(発砲系の断熱材は除く)

③恒常的に濡れている木材に腐朽菌が発生し柱などが腐ってきて建物の構造上に問題が生じてくる。

④中古住宅の取引では需要説明時効として過去の雨漏りは10年以内のものは買主に伝えなければならない。対象を放置したままだと、価値が下がる恐れがある。

屋根の雨漏りは2つの要素が重なるときに発生する

1.屋根仕上げ材の不具合によって下地防水紙上に雨水が入り込む。

事例

①棟違い・出隅・入隅の各部の屋根の雨仕舞いの取り合い部

【隅棟への水の横走りによる吹き込み】

通常は水上から水下まで流れていきますが、台風や雷雨時に発生する強い横風で屋根面の雨水が横に流れる水の横走り現象が発生すると、止水処理をしていない隅棟板金内部に雨水が入り木下地を留付けている釘やビス穴から下地防水紙に回ってしまう場合があります。

隅棟への水の横走りによる吹き込み

②流れ壁やケラバ・本谷への雨水の激しい吹き込みによるオーバーフロー(排水の容量オーバーのこと)

写真のように銅板を取り付けている場合、酸性雨などで谷板金に穴が開き、下地防水紙に雨水を回す場合があります。

またオーバーフローと言って谷板金の排水容量を超えて下地防水紙に雨水を回す場合があります。

谷板金の不具合

オーバーフローの状態(下図左)は大量の雨水で雨水は谷板金から雨水が溢れ下地防水紙へ雨水が回ってしまっています。それに対して通常の場合(下図右)は雨水は谷板金から軒先方向に排水されています。

オーバーフローの解説

③天窓周り

【天窓の不具合について】

天窓は天窓枠の周りに捨て板などで雨仕舞いをし、屋根を納めていきます。古い天窓ですと窓枠同士の接合から雨水が浸入する場合もありましたが、現在はこの問題は解消されています。不具合は捨て板の上下勘合の毛細管現象や捨て板の大雨時オーバーフローが考えられます。また天窓を取り付けるために開けた穴が天窓のサイズよりも大きすぎるとその隙間を埋めずに、屋根施工が下地防水紙を張ってしまって、結露や下地防水紙がたわんで漏水を起こす場合があります。

天窓の不具合

④屋根材の対応勾配以下での施工による雨水の引き込み

⑤経年劣化したシングル材・塗装のなくなったセメント瓦・錆びの進行した鋼板の本体から透過した雨水

【屋根材の経年劣化による屋根の防水機能の低下】

アスファルトシングルやセメント瓦などは経年劣化や塗装面がなくなってしまうと屋根面全体から下地防水紙に雨水が浸透してしまいます。

屋根材の経年劣化

⑥再塗装不良などによる屋根材の排水不良や毛細管現象

【毛細管現象による水の吸い上げ】

平板スレート屋根や金属屋根の上下の勘合などが密着しやすい素材は大雨や緩勾配などで水はけが悪い状態のときに屋根材の上下勘合部が水中のようになると水がその密着した重ねを上っていくことがあります。これを毛細管現象と言い、屋根の雨漏りの原因の中でも多い。

毛細管現象

⑦屋根材の割れ

⑧壁止まりの雨仕舞不良

【壁止まりの不具合について】

壁止まりの雨押さえ板金は外壁の内側に納まります。このため下図のように雨押さえ板金を伝って壁の内側に侵入した雨水がそのまま雨押さえの立ち上がり部の根元を流れて壁止まりの雨押さえが終わる場所であり、雨押さえがなくなるとその先の外壁内側に雨水が流れてしまう不具合です。15年以上前までは非常に多い雨漏りの原因でした。

壁止まりの不具合

⑨隅棟や棟部への雨水の吹き込み

⑩内樋の雨仕舞不良やオーバーフロー

軒先のやや上部などに雨樋を設置している設計。箱樋とも言われる図のように屋根の中に雨水を通すためオーバーフローなどの雨漏りが起きやすい。

内樋の不具合

⑪板金のつなぎ目の毛細管現象(笠木も含む)

⑫そもそも該当する屋根材や周辺部材にそぐわない美観優先などの無茶なおさめの指示

⑬板金型棟換気の排水不良

【棟換気の注意点】

棟換気の雨漏り

棟板金と同形状の板金にスリットと呼ばれる切れ目の入った棟換気材はその切れ目から屋根裏の空気を排気し、雨を屋根材上に排水する機能を持っています。しかし何らかの理由で下図のように排水箇所が塞がってしまうと逃げ場のない雨水が棟換気の開口部へ勢いよく流れてしまいます。

棟換気の構図

元々この形状の棟換気の排水口は狭いため、スレート屋根の硬い屋根材にはちょうど良く排水口の幅を保てますが、アスファルトシングル材など柔らかい部材を使用するときには棟換気を野地板に効かせるときに締め付けすぎると排水口が塞がってしまったり狭くなってしまうことがあるため、十分注意して施工する必要があります。屋根塗装を行う際もこの箇所を塗料やシリコンで絶対にふさいではいけません。

2.下地防水紙の不具合で野地板・構造用合板部に雨水が入り込む。

事例

①防水紙の上下・左右勘合のたわみ

【防水紙の重ね端部のたわみ】

防水紙と密着していないため、ここから雨水が流れ込むと野地板へ確実に雨水は回る。

ルーフィングのたわみ

【防水紙の一般部のたわみ】

たわんだまま敷いてしまうと、野地板や合板の水分が蒸発するときにルーフィングが膨れてそのまま硬化します。経年でこの膨れの部分が伸縮し亀裂が入り雨水が浸入する可能性があります。

ルーフィング一般部のたわみ

②下地防水紙の経年劣化による硬化亀裂(主に膨れ)

③大量の雨水が浸水することによるビス・釘・タッカーの穴からの浸水

④屋根材施工時にできた下地防水紙の損傷(破れ・穴あき)の放置

絶対にあってはいいけないことですが、施工中に破れが発生しても気づかずに放置することで雨漏りに繋がります。

施工中の防水紙破れ

⑤下地防水紙の施工不良(重ね寸法や立ち上がり寸法足らず。)

⑥出隅・入隅や複雑な箇所のピンホール

~すぐに天井などに雨シミが付く場合は下記の可能性も~

合板の重ね部分からの雨漏り

室内の天井などにすぐに雨シミがつき、雨漏りが発覚した場合は運悪く、たまたま合板の重なり部分であることが多いです。わかりやすい雨音が響くことも多いです。

まとめ

屋根から雨漏りが発生する要因は、大きく二つに分かれます。

まずは、屋根仕上げ材の不具合によって下地防水紙上に雨水が入り込む要因です。そしてもう一つが、下地防水紙の不具合で野地板・構造用合板部に雨水が入り込む要因です。

雨漏りが起きた際は原因追求が最も重要です。

上述したパターンの可能性があることを事前に知っておくことで、屋根修理業者とのコミュニケーションも円滑に進むかと思います。

また屋根以外の雨漏りのパターンもご紹介させて頂きます。

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