石綿の事前調査義務化に伴う屋根リフォームで知っておくべきこと

2021年4月から、改正石綿障害予防規則により建築物の解体や改修工事をおこなう際、施工業者は石綿使用の有無の事前調査をおこなうことが求められています。
設計図書などの書面調査や、現地での目視調査をおこない各建材について石綿の有無の証明しなければならないというものです。
書面、目視などの調査で石綿含有が不明な場合には、検体を採取して分析を行うことが求められています。

そして2022年4月から、一定規模以上の工事の事前調査の結果は労働基準監督署に報告をする義務が課せられ、加えて環境省が所管する大気汚染防止法に基づき、地方公共団体にも報告を行う必要があります。

今回は、石綿(アスベスト)の危険性や、4月からの「石綿事前調査結果報告システム」による報告の義務化に伴いリフォームを行う際に知っておくべきことを解説していきます。

石綿とは

石綿はアスベストとも呼ばれる天然の鉱物繊維です。
ご存知の通り発がん性物質であり、吸入することで健康被害が懸念されるため、現在では法律により使用が禁止されています。これまで、軽量で安価、そして熱や摩擦、酸やアルカリにも強く、丈夫などといった理由から、多くの工業製品に使用されてきました。
屋根材においては、「スレート」そして一部では「セメント瓦」に石綿が使用されておりました。

石綿の危険性

石綿は、軽量で繊維が細いため飛散すると人体に吸収される恐れがあります。
カラーベストやコロニアルなどのスレート屋根材に使用されている石綿は固められている状態のため、通常では飛散する可能性は低いです。
ご自宅の屋根が石綿スレート屋根だからと言ってすぐに解体をする必要はありませんが、もし破損してしまった際は石綿が飛散し、人体に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。

石綿が使用されている建材は、環境汚染や健康被害を抑制するため、発じん性によってレベル分けされています。石綿スレート屋根は、比較的発じん性が低いとされるレベル3です。解体作業や廃棄物の処理方法には、規則が定められています。

石綿事前調査結果報告システム

2022年年4月1日から「石綿事前調査結果報告システム」による報告が義務化されています。

報告対象の工事

※ 石綿の有無に関わらず、以下のいずれかに該当する場合には報告が必要です。

① 解体部分の延べ床面積が80㎡以上の建築物の解体工事
② 請負金額が税込100万円以上の建築物の改修工事
③ 請負金額が税込100万円以上の特定の工作物の解体または改修工事
④ 総トン数が20トン以上の船舶(鋼製のものに限る)の解体又は改修工事(※令和4年(2022年)1月13日厚生労働省令第3号により追加)

参考サイト:石綿事前調査結果報告システムについて | 石綿総合情報ポータルサイト

解体・改修工事を行う側の注意点

石綿は、平成18年(2006年)9月から輸入、製造、使用などが禁止されていますが、それ以前に着工した建築物等には石綿が使用されている可能性があります。
このため、解体・改修工事を発注する場合、建物のオーナー等の発注者は、施工業者に対して次のような配慮を行うことが義務となります。

施工業者への配慮義務

・解体・改修工事を行う建築物等の石綿の使用状況等(設計図書など)を施工業者に伝える必要があります。

・解体・改修工事を行う建築物等に石綿が使われていることが判明した場合、石綿除去の工事に必要な費用、工期や作業方法などについて施工業者が法令を遵守し工事をこなえるよう配慮する必要があります。

※ 建築物等の解体・改修を行う事業者には、法令により、石綿の含有の有無の事前調査を行う義務があります。このため、解体・改修工事を事業者に発注する場合には、石綿の事前調査費用が計上されていることを確認してください。

石綿の事前調査費用の項目例

石綿の事前調査費用の項目は次のとおりです。

・書面調査
・現地調査
・裏面確認調査
・分析調査
・総合調査報告書
・諸経費(交通費他)

適切な施工業者を選ぶために

屋根材に赤面が含まれているか適切に調査をし、工事をおこなう業者を選ぶために、以下のようなポイントに注意して施工業者を選びましょう。

・仮見積もりの段階で石綿の調査費用がしっかり含まれていること、石綿の調査をおこなうための資格(建築物石綿含有建材調査者など)を持っているか確認する。

・本見積もり(石綿調査結果後)に、石綿事前調査報告書の提出を要する石綿含有吹付材(レベル1)、保温材等(レベル2)がある場合、労働基準監督署に提出した計画届、自治体に提出した特定粉じん排出作業届の写しをもらっておく。

・工事後、石綿の飛散防止措置がしっかりおこなわれたことを証明する作業実施状況の写真などの記録をもらっておく。

石綿が含まれるスレート屋根の工事は信頼できる地域密着の施工業者に

解体時に石綿が飛散する可能性があるため、石綿スレート屋根の改修にあたっては法律でも様々な定めがあります。「石綿作業主任者」など必要な資格をもって工事ができる専門業者へ依頼を行いましょう。

石綿スレート屋根の改修費用を抑えるには

また、石綿が含まれる屋根の工事は他の屋根材の工事に比べ、調査や廃棄といった工程が加わることから費用がかかってしまいます。
工事費用を抑えるためには、地域密着の施工業者に依頼をすると良いでしょう。
大手ハウスメーカーなどの場合、下請け業者に工事を依頼しているため中間マージンが発生し、同じ内容の工事でも費用が割高になってしまうのです。

一方で、自社施工の業者ですと中間マージンが不要なため、その分工事費用も安くなるというわけです。また、工事にあたる職人との直接のやり取りが可能なので、不明点や相談事などがあれば気軽に伺えるというメリットもあります。
ただし、地域密着の業者でも突然訪れる訪問業者には注意をしましょう。悪質な工事で多額の費用を請求する工事トラブルも多く報告されています。

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