スマートメタルとはどんな屋根材?メリットとデメリットを解説

スマートメタル

金属屋根にはさまざまな種類があり、ひと昔前の高度経済成長期に広く普及したトタン屋根や純和風住宅で採用される銅板屋根などがありますが、近年では耐久性の高いガルバリウム鋼板屋根やそれをさらに改良したエスジーエル鋼板屋根などが良く知られており、需要を伸ばしています。

また金属屋根は非常に軽量であることから建物の構造躯体に負担をかけないので、屋根の重ね葺き(カバー工法)リフォームにも数多く採用されています。

そこで本記事では、比較的価格が安く、施工性が良いことでカバー工法によるリフォームで人気の高い屋根材、「スマートメタル」について紹介します。

スマートメタルとは?

「スマートメタル」は、カラーベストやROOGA(ルーガ)などで知られる屋根材のトップメーカーであるケイミュー株式会社が開発したエスジーエル鋼板の屋根材です。

ケイミューは、かつてはスレート屋根材の製造販売でトップ争いをしていたクボタと松下電工(後のパナソニック電工)の住宅外装建材部門が事業統合したことによって2003年に設立された会社で、屋根材のほかに外壁材、雨樋などの製造・販売を行っています。

特にカラーベストが良く知られており、約60年のロング&ベストセラーとなっているので、ご存知の方が多いと思います。

スマートメタルはケイミュー社が初めて金属屋根材市場に参入した商品で、ガルバリウム鋼板の3倍以上もの耐食性を発揮するといわれているエスジーエル鋼板を採用しています。

エスジーエルはガルバリウム鋼板のメッキ組成に2%のマグネシウムを含有させることで、厳しい環境下にあってもサビの発生を抑えることができます。

そのため従来金属屋根材を使用することが敬遠されていた沿岸地域での採用が可能になり、穴あき保証が25年、赤さび保証20年、塗膜の膨れ保証15年となっています。

また施工する際には左右どちらからでも重ね葺きすることが可能で、重ね代が自由に調整できて切断の手間を省くことができるので、切断が不要になる分廃材を減らすことができます。

このようにスマートメタルは、ガルバリウム鋼板系の屋根材の中では比較的安価(施工価格は1㎡あたり6,500円前後)な屋根材でありながらも非常に施工性に優れているため、屋根のカバー工法によるリフォームなどで人気のある屋根材となっています。

【関連記事】


 

スマートメタルのメリット

メリット

 

スマートメタルは先に述べたように、ガルバリウム鋼板を改良した機能性の高い屋根材でありながらも比較的安価であるといえます。

しかしそれ以外にもさまざまなメリットがあります。

この章ではスマートメタルのメリットを具体的に紹介します。

耐用年数が長い

スマートメタルの素材はエスジーエル鋼板なので、最大のメリットは耐用年数の長さといえます。(ただし陶器瓦よりは耐用年数が短い)

保証期間も長期で、穴あき保証については25年になります。

そのため一般的な耐用年数の目安は30~40年とされ、メンテナンス周期も長いので、メンテナンスに手間のかからない屋根材のひとつといえます。

軽量で耐震性が高い

スマートメタルの1㎡あたりの重さは5㎏未満で、スレート屋根(カラーベスト、コロニアル)の約1/4、陶器瓦の約1/8(土葺き瓦屋根の1/10以下)と非常に軽量です。

屋根の重量が軽くなるほど建物の重心の位置が低くなるので、屋根をスマートメタルで葺いた建物は、地震発生時に揺れにくくなります。

そのため建物が倒壊してしまったり、大きな損傷を受けてしまったりする可能性が低くなります。

また屋根が金属製であるため、地震で割れて破損してしまうこともありません。

軽量なので施工性が良い

スマートメタルは非常に軽量な屋根材なので、都心の狭小地や住宅密集地でも荷揚げが簡単で楽に施工することができます。

また、屋根の重ね葺き(カバー工法)リフォームには最適な素材といえます。

風雨に強い

スマートメタルは、施工時に前端の勘合と後端のビス・釘止めにより下地材にしっかりと固定することで台風や突風による飛散やズレを抑えます。

メーカーによる性能試験では、風速60m/sもの強風にも耐えたという結果が出ています。

金属屋根材は一般的に強風に弱いといわれているので、この点はメリットといえるでしょう。

さまざまな屋根形状にも対応できる

スマートメタルは単独の薄い金属板であることから、比較的幅広い形に加工することができます。

したがってさまざまな形状の屋根にも施工することが可能です。

スマートメタルのデメリット

スマートメタルは耐久性の高いエスジーエル鋼板を採用した屋根材であるものの費用が比較的安価なことが最大のメリットといえますが、安価なだけにデメリットも存在しています。

この章ではスマートメタルのデメリットを紹介します。

断熱性能がない

金属製屋根材のデメリットには、他の屋根材と比較して断熱性能が低いことが挙げられます。

陶器瓦やセメント瓦には粘土やセメントなどが使用されているので、素材としての断熱性能が高くなります。

一方、金属屋根は厚さ0.3~0.35mmほどの薄い鋼板なので断熱性がなく、裏貼りした断熱材で断熱性能の低さを補っています。

しかしスマートメタルには断熱材が裏貼りされていないため、屋根材の断熱性能はほとんど期待できません。

したがって新築工事でスマートメタルを採用する場合や、屋根材の葺き替えを行う場合などには追加で断熱工事を行うことが不可欠になるので、場合によっては総コストの面で割高になってしまう可能性があります。

そのため、すでに天井裏などに断熱材が入っている場合の屋根のカバー工法(重ね葺き)の際に利用するのが最もおすすめの方法といえます。

遮音性が低い

スマートメタルには断熱性能がないのと同じ理由で、遮音性能にも問題があります。

もともと金属屋根には遮音性能がなく、裏貼りされた断熱材などで遮音性能を確保しています。

そのため薄い鋼板1枚だけだと、降雨時には屋根に落ちる雨音が室内にも伝わってしまいます。

したがって何らかの遮音対策や吸音対策が必要になります。

適用しない地域がある

スマートメタルにはメーカーが独自に定めた適用地域があります。

「積雪が概ね100cmを超える地域」などは適用外となってしまうので、ケイミュー社が定めた適用地域を事前に確認しておく必要があります。

施工に適さない屋根がある

スマートメタルには年間平均最深積雪量などによって、地域ごとに必要な屋根勾配や流れ長さ(棟から軒先までの距離)、適用する葺き方などがメーカーにより定められています。

したがってこれに適合しない屋根勾配や流れ長さの屋根には施工することができません。

まとめ

スマートメタルは耐久性の高いエスジーエル鋼板製の軽量な屋根材でありながらも比較的安価なので、老朽化したカラーベストの屋根をカバー工法でリフォームするのに最適な屋根材といえます。

またスマートメタルは施工性も高く、コストパフォーマンスにも優れているといえます。

一方で、断熱性や遮音性に劣り、多雪地帯では施工できないといったデメリットも少なくないので、事前にメリットとデメリットを良く確認した上で採用の可否を決めることが大切です。

屋根修理のプロが集まる「屋根修理の匠」には、あなたの自宅に近い経験豊富な業者が多数登録しています。

建物の状態や今後の住まい方に合った最適なメンテナンス方法をアドバイスできるので、ぜひ一度「屋根修理の匠」をチェックしてみてくださいね。

優良屋根修理業者を探す

PAGE TOP

LINEでかんたん
問い合わせ&職人案内